研究課題/領域番号 |
24730465
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
堅田 香緒里 法政大学, 社会学部, 講師 (40523999)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 貧困 / ジェンダー / ナショナルミニマム / ベーシックインカム |
研究実績の概要 |
本年度は、既存の社会政策の基盤にある社会思想や規範をジェンダー・パースペクティブから批判的に問い直す作業に取り組んだ。とりわけ「社会改革思想」や「ナショナルミニマム」の理念の課題(たとえば「標準世帯/男性稼ぎ主型」モデル等)を明らかにし、そのうえで、それらの課題を乗り越えていく思想的基盤をベーシックインカムが提供できるのかどうかを検討した。 その成果は、(1)「『標準世帯』をこえて―社会保障・社会福祉制度の観点から―」(『社会臨床雑誌』第22巻第2号、2014年10月)、(2)「社会改革思想と現代――社会政策の思想的基盤を問う――」(平岡公一との共著、『社会政策』第6巻、第3号、2015年3月)や(3)「ナショナルミニマム保障の哲学」(『貧困研究』14号、近刊)等にまとめている。 また、研究成果を広く社会に発信することにも努めた。たとえば、(1)「生活保護制度の行方とベーシックインカムの可能性」、グローバル・ベーシック・インカム研究会、2014年6月や、(2)社会学系コンソーシアム第七回シンポジウム「現代の雇用危機を考える」では、指定コメンテーターとして、ジェンダー視点からの雇用問題を明らかにした。 最後に、国際的な学術ネットワークにおいても研究成果の発信に努めた。その成果は、(1)'Beyond the Three Selection Principles of Welfare Policy' in "Basic Income in Japan",(Palgrave, 2014)の出版や(2)’The Reform of the Public Assistance System and the Potential for BI’(15th International Congress of the BIEN、2014)等。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた渡英(ヒアリング調査・共同研究に向けた意見交換)は今年度中にはかなわなかったが、ベーシックインカム国際ネットワークの理事であるYannick Vanderbought氏の来日にあわせ、日仏会館にて「日本における最低所得: 社会的保護の再生に向けて?」というテーマでシンポジウムを開催し、研究成果の発信・意見交換を行った。
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今後の研究の推進方策 |
今年度までの研究作業で得られた知見をまとめ、国内外で研究成果の発信に努める。具体的には、イギリスの社会政策学会(Social Policy Association)にて研究成果の報告を行う予定である。なお、SPAで渡英の際には、あわせてベーシックインカムに関する市民団体等にヒアリング調査を行い、帰国後にその研究成果を関連する国内学会(日本社会福祉学会および福祉社会学会)において報告する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた渡英(ヒアリング調査・共同研究に向けた意見交換)を次年度に延期したため。なお、国際学術ネットワークにおける研究成果の発信という点では、今年度、ベーシックインカム国際ネットワークの理事であるYannicl Vanderbought氏の来日にあわせて最低所得保障とベーシックインカムに関するシンポジウムを行った。
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次年度使用額の使用計画 |
延期となったヒアリング調査・共同研究に向けた意見交換のために、勤務校の夏季休業期間にあわせて渡英する予定である。差額については、その交通費等に使用する予定である。
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