研究課題/領域番号 |
24730475
|
研究機関 | 東京経済大学 |
研究代表者 |
金 成垣 東京経済大学, 経済学部, 准教授 (20451875)
|
キーワード | 福祉国家 / 後発性 / 東アジア / 雇用保障 / 社会保障 |
研究概要 |
本研究では,これまで東アジア諸国・地域の社会保障に関する研究から得られた「後発福祉国家論」という視点にもとづいて,①日本,中国,韓国,台湾における雇用保障の歴史と現状,そしてその社会保障との関連性についての国際比較分析を行い,これにより,②後発福祉国家論のさらなる理論的発展を試みるとともに,③各国における制度改革や今後の東アジア地域統合に向けての政策提言の可能性を探ることを目的とする。 この目的を達成するために,平成25年には,前年度にひきつづき,各国の雇用保障・社会保障に関する歴史・現状分析と後発福祉国家論に関する理論研究とを平行して研究をすすめてきた。前者に関しては,前年度における雇用保障についての分析をふまえ,その雇用保障と社会保障の関係性を明らかにしようとした。後者に関しては,両政策の関係性にみられる諸特徴から後発福祉国家の類似性と相違性を明らかにしようとした。 具体的な研究成果としては,「東アジア福祉国家を世界史のなかに位置付ける――その理論的意味と方法論的視点」『社会政策』第5巻第2号(単著),『生産的福祉と経済成長――福祉国家の事例分析』アサン政策研究院(共著,ハングル文献),「福祉国家化以降の韓国福祉国家――『過酷な現実・不安な将来』の諸相」末廣昭編著『東アジアの雇用保障と新たなリスクへの対応』東京大学社会科学研究所リサーチシリーズ No.56(単著),「日本――戦後における社会保障制度の成立とその特徴」田多英範編『世界はなぜ社会保障制度を作ったのか』ミネルヴァ書房(単著,執筆中),「韓国福祉国家の全体像――後発国の文脈から」『週刊社会保障』No.2774(単著,執筆中)などがある。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在まで,各国における研究成果をふまえながら,主に文献研究や現地調査を中心とした各国分析を行ってきている。分析はおおむね順調に進展しており,その結果,上で提示したいくつかの研究成果を出している。
|
今後の研究の推進方策 |
平成26年には,基本的に前年度の到達点をふまえて研究をすすめていく。具体的な研究方法としては,前年度と同様,各国の歴史・現状分析と理論研究を持続しているが,この時期は,3年間の研究成果を最終的にとりまとめるための時期となる。したがって,これまで行ってきた後発福祉国家論に関する理論研究にもとづいて,日中韓台の本格的な多国間比較を行うと同時に,そこから見出された東アジアの共通性と多様性から,各国の政策的方向性と今後の東アジア共同体に向けての共通政策の可能性を検討し,その成果を研究報告書として作成する。 最終報告書の完成ののち,その成果を日本国内・外の学会・研究会報告などのかたちで普及していく予定である。
|
次年度の研究費の使用計画 |
各国の歴史・現状に関する資料調査のさいに,デジタル情報の利用が多くなり,コピー代や郵送費などが予定より小額ですんだ。 デジタル情報の保存・処理のためのメモリなどのパソコン周辺機器の購入に当てる予定である。
|