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2014 年度 実績報告書

後発福祉国家の雇用保障と社会保障に関する国際比較研究

研究課題

研究課題/領域番号 24730475
研究機関東京経済大学

研究代表者

金 成垣  東京経済大学, 経済学部, 准教授 (20451875)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード後発福祉国家 / 雇用保障 / 社会保障 / 東アジア
研究実績の概要

今年度は,平成24・45年度にひきつづき,主に日本・中国・韓国における雇用保障政策と社会保障政策について,家族政策との関連を強く認識しながら,それら諸政策の歴史・現状分析そして理論研究を行った。韓国を中心に研究実績の概要をまとめてみると次のようになる。
まず,歴史・現状分析について。20世紀末以降の韓国における福祉国家の整備過程をみると,雇用保障政策に関しては,西欧諸国の福祉国家整備過程にみられた完全雇用政策,つまり「製造業分野を中心とした雇用拡大政策」とは異なり,「サービス産業分野を中心とした雇用拡大政策」が展開された。後者の政策は,前者の政策の前提であった男性稼ぎ主モデルの家族ではなく,共稼ぎ主モデルの家族を前提とせざるをえず,そのため社会保障政策では,世帯主としての男性労働者を中心とした「職域どごの労働者保険」ではなく,国民個々人を全国統一的な制度からカバーする「単一型の国民保険」を構築した。重要なのは,この雇用保障・社会保障政策の展開と関連して「男性稼ぎ主モデルを支援する家族政策」ではなく,「共稼ぎ主モデルを支援する家族政策」が積極的に推進されたことである。
次に,理論研究について。以上のような韓国の経験は後発福祉国家であるがゆえにあらわれたものといえる。すなわち,「サービス産業分野を中心とした雇用拡大政策」・「単一型の国民保険」・「共稼ぎ主モデルを支援する家族」を機軸とする福祉国家の整備は,20世紀の工業化時代に福祉国家の整備に乗り出した先発国としての西欧諸国とは違って,21世紀の脱工業化時代に福祉国家の整備に乗り出した後発国としての韓国が選択せざるをえなかった福祉国家化のパターンと捉えることができる。
本年度の研究では,以上のような視点にもとづき,韓国だけでなく日本や中国についても分析を行いつつ,後発福祉国家としての東アジア諸国・地域の類似性と相違性の究明を試みた。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2014

すべて 雑誌論文 (3件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] 韓国福祉国家の全体像――後発国の文脈から2014

    • 著者名/発表者名
      金成垣
    • 雑誌名

      週刊社会保障

      巻: No. 2772 ページ: 50-55

  • [雑誌論文] 福祉国家から社会投資国家へ?――韓国の経験2014

    • 著者名/発表者名
      金成垣
    • 雑誌名

      生活経済政策

      巻: No. 214 ページ: 28-31

  • [雑誌論文] 社会学における韓国研究の意義と可能性2014

    • 著者名/発表者名
      春木育美・金成垣
    • 雑誌名

      現代韓国朝鮮学会

      巻: 第14号 ページ: 17-30

  • [図書] 「日本――戦後における社会保障制度の成立とその特徴」田多英範編『世界はなぜ社会保障制度を作ったのか』2014

    • 著者名/発表者名
      金成垣
    • 総ページ数
      370
    • 出版者
      ミネルヴァ書房
  • [図書] 「家族政策」土田武史編『社会保障論』2014

    • 著者名/発表者名
      金成垣・松江暁子
    • 総ページ数
      405
    • 出版者
      成文堂

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公開日: 2016-06-01  

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