本研究において,雇用保障・社会保障政策からなる全体としての福祉国家を捉えるアプローチから,主に福祉国家の成立期に焦点をあてて東アジア諸国・地域を比較分してきた。特に西欧諸国における先発福祉国家の経験との対比で,後発福祉国家としての日本や韓国,中国の歴史と現状を明らかにし,それと同時にその後発福祉国家のなかにみられる類似性と多様性を探るための他国間比較分析を行ってきた。 これを通じて,従来の比較福祉国家研究の分野でこれまでほとんど注目されてこなかった後発福祉国家を捉える理論的視点を確立するとともに,各国・地域の制度改革のための実践的な政策課題を提示することができた。
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