研究課題/領域番号 |
24730476
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研究機関 | 愛知県立大学 |
研究代表者 |
野田 博也 愛知県立大学, 教育福祉学部, 准教授 (00580721)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 資産 / 貯蓄 / 債務 / 貸付 / マイクロファイナンス |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、生活基盤の形成や臨時的・応急的必要に応じる有形・私有のストック資源を重視する資産福祉に着目し、この資産福祉を促すことで貧困の改善をはかる政策の特徴や課題を明らかにすることである。 3年目は、①海外の動向として、開発途上国におけるマイクロファイナンスの実践から資産福祉に該当する実践について検討するとともに、アメリカの資産福祉を牽引する非営利活動組織の活動の分析を進めた。この非営利活動組織の活動に対する分析を通して、資産形成に向けた活動には、貯蓄の促進だけなく、貯蓄をする前提となる家計管理の技法や態度等を涵養する取り組みが、重視される傾向にあることが分かった。また、②国内の動向としては、貧困と債務(問題)や貯蓄との関連、貸付や家計管理を促す政策に注目し、これまでの経緯と今後の研究課題を明らかにした。 2014年度中に刊行された研究成果としては、「マイクロファイナンスにおける諸サービスの関係:フィリピンのCARD MRIが提供する小規模貸付及び小規模貯蓄、小規模保険に着目して」(愛知県立大学大学院人間発達学研究科)がある。この研究では、フィリピンの代表的なマイクロファイナンス機関を取り上げ、注目される貸付だけでなく、貯蓄サービスや保険サービスの展開を追い、それぞれの手法の関係を考察した。異なる手法には異なる特徴(長所・短所)があるが、貸付を軸としながらも、貯蓄や保険がそれを補足することで、地域住民のニーズ充足と機関運営の安定的な経営のバランスを図っていることが分かった。政府等、外部からの十分な資金援助が期待できない状況におけるストック資源充足の手法を明らかにできた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
資産福祉に該当する研究の蓄積や海外の政策展開は想定以上であったことが主な理由として挙げられる。
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今後の研究の推進方策 |
最終年である4年目は、貯蓄形成を促す資産福祉の政策動向やその原理について考察を進めていく。特に家計管理に関連する教育的アプローチが重視されていることを加味しながら、国内外の関連する動向の把握・分析を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画を若干変更したために必要な支出についても若干の変更が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
研究計画を遂行するために必要な物品費として使用する。
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