研究課題/領域番号 |
24730480
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
秋谷 直矩 京都大学, 物質-細胞統合システム拠点, 研究員 (10589998)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 高齢者介護 / エスノメソドロジー / 相互行為 / ケア |
研究概要 |
平成24年度は、滋賀県内の高齢者介護施設において継続的に参与観察・インタビュー・当該施設における相互行為のビデオ撮影を実施した。特に、施設職員によるカンファレンスを中心に調査し、施設を利用している高齢者の身体的機能や認知に関する評価やそれに関係する諸トラブルへの対応方針、職員間での情報共有のプロセスなどを記録した。また、施設職員と施設を利用している高齢者の相互行為場面についても、可能な限りビデオカメラによって撮影し、データ集を作成した。 また、平成24年度下半期には歩行訓練士のコミュニティにもアクセスすることができた。そこでは今後、視覚障害をもった人々の歩行訓練場面のデータを収集し、視覚障害を持った人々の相互行為の構造を明らかにしていく予定である。 加齢に伴うコミュニケーション障害をめぐる相互行為のデータは当初の目標通り集まっているが、コーパス作成は平成24年度中には手をつけられなかった。もとよりコーパス作成は平成25年度実施計画に入っており、その点では計画通り研究は進んでいると言える。 平成24年度実施計画では、(1)調査先との信頼関係形成(2)当該施設における相互行為のデータ収集(3)関連研究の収集・整理の3点を達成目標として掲げていた。以上3点については上述のとおり現在滞りなく進行しており、次年度以降の分析および研究成果の公開(学会発表等)のフェーズに移行できる見通しが立っている。なお、本年度は調査先とのラポール形成とデータの収集を主眼に置いていたため、本格的な論文投稿や学会報告を行うのは次年度以降のタスクとなる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、加齢に伴うコミュニケーション障害に対する援助実践を対象に、そこでの実践知の記述的研究を進め、加齢に伴うコミュニケーション障害をめぐる相互行為の構造を解明することである。この目的を達成するためには、調査を行うフィールド(高齢者介護施設)とのラポール形成とデータ収集には時間をかける必要がある。平成24年度は、まず、滋賀県内の高齢者介護施設に継続的に通い、信頼形成につとめた。結果として、入浴介助・トイレ介助といった尊厳に直接的にかかわる場面以外のビデオ撮影の許可をもらえることになり、その点では当初の目標のひとつは達成されたと言える。また、ビデオカメラによる相互行為の撮影データや施設職員・施設利用者へのインタビューデータも順調に集まっており、平成25年度以降に取り組み予定である分析や研究成果公開のフェーズに滞り無く移行できる見通しが立っている。ただ、交付申請書「平成24年度の研究実施計画」に記載した以上に研究が進行しているわけではなく、その点で「おおむね順調に進展している」を選んだ。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、昨年度に引き続き調査を進め、データの収集につとめる。昨年度調査した滋賀県内の高齢者介護施設には、平成25年度も継続調査許可は得ている。また、歩行訓練士のコミュニティにも調査許可を得たので、こちらも調査を進める予定である。それと並行して、データコーパスの作成と分析を進め、その成果は随時発表していく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度の研究費の使用計画は以下の通りである。(1)分析用ソフトウェアの購入を行う。(2)分析を効率よくまた深く行うために、随時研究会などで発表を行い、そこで識者のアドヴァイスをもらうために旅費を使用する予定でる。(3)本研究テーマに関連する関係学会・研究会に参加し、研究の最新動向や傾向を調べるために旅費を使用する予定である。(4)成果公表のために学会発表を行うために旅費を使用する予定である。
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