本研究は、加齢に伴うコミュニケーション障害に対する援助実践を分析する。そこでは、相互行為の構造の解明を目的とする。高齢者介護施設でのケアワーク場面をビデオ撮影し、そこで得られた映像データを対象に、エスノメソドロジーの観点から分析を行なった。また、比較として、視覚障害者の歩行訓練場面の調査・分析も並行して行い、高齢者介護のケアワークの固有性についても検討を行なった。 分析では、高齢者の「能力を推し量る」という探索的行為に注目した。結果として、それは「能力の回復または現状維持の可能性」の理解可能性に指向して組み立てられ、その結果に基づいて、援助行為が「フォローアップ」として組織されていた。
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