本研究では、コミュニティカフェのスタッフが利用客(者)および地域にどのようなアプローチをしているのかについて明らかにするとともにコミュニティカフェの存在意義について見出した。 とりわけスタッフのアプローチについては、スタッフが「利用客(者)と共に」コミュニティカフェを創るという姿勢で利用客(者)にアプローチすることの重要性が示されたほか、その過程を通じて利用客(者)同士が知り合いになっている点が明らかになった。また利用客(者)にとっても、「サービスの受け手」ではなく「その場を創り出す」立場に立てることがコミュニティカフェを利用する大きな理由になっている点が明らかになった。さらに世代を超えて知り合いの輪が広がっているという実態も明らかになり、コミュニティカフェの特徴が挙げられた。 以上の研究結果から、キーパーソンであるコミュニティカフェスタッフが、利用客(者)同士のネットワーク構築に大きな影響を与えていることが示された。また、地域住民の主体的な活動を推進するための地域の拠点を設置するためには、拠点を設置するのみならず、スタッフのアプローチが重要になること、そして地域には利用者層を限定しない場所も必要とされていることが明らかになった。 以上の研究成果については、『コミュニティカフェと地域社会――支え合う関係を構築するソーシャルワーク実践』(明石書店、2014年)として公表したほか、日本地域福祉学会および日本社会福祉学会で報告した。 また、本研究に取り組む過程において、地域の活動拠点の一つとして考えられるコミュニティカフェには、コミュニティカフェが位置する地域の関係機関および専門職との連携が必要になると考えられた。こうした新たな課題については、次年度以降の研究テーマとして取り組んでいきたい。
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