平成25年度では、前年度に行った小地域における福祉ガバナンスに関する先行研究を基盤にしながら、小地域地域福祉活動の具体的な実践事例を通して、地域住民の福祉に対する主体形成の変化と、それらを側面的な支援を行う社会福祉協議会(以下、社協)の介入の目的とねらい、そして主体形成を高める福祉教育の視点について分析し、福祉ガバナンス構築に求められる要素を明らかにした。 小地域福祉ガバナンス構築の一端を担っている社協職員5名に対して、コミュニティワーク実践事例をインタビュー調査し、その役割と機能の分析に関する質的調査を行った。改めて、コミュニティワーカーの動きの多様性と総合性、そして、コミュニティワーク実践の基盤についても明らかになった。また、エビデンスを実証することが困難な地域福祉実践領域において、実践事例を分析し、それらを普遍化する手法は、一定有効であると考える。これらの研究結果の一部を、「小地域福祉活動におけるコミュニティワーカーの役割と機能」として福祉教育開発センター紀要にて投稿した。一方で、調査対象者の人数が限られており、実践事例の内容や、その人の動きについて個別性が高く、普遍化されたものであるとは言いがたい。現在継続している複数のコミュニティワーカーのインタビュー分析を実施する事と併せて、同じコミュニティワーカーから、別事例のインタビュー分析を行うことで、その普遍性を高めていきたいと考える。また、コミュニティワーカーが様々な場面において判断した意図やねらいについて、その要因分析についても今後の研究課題としたい。
|