2つの特別養護老人ホームにおいて,2つの調査(施設内の騒音レベル・音源の記録,および,ケアスタッフを対象としたインタビュー調査)を行い,施設で暮らす認知症高齢者の周辺症状(BPSD)に音環境が与える影響について検討した。認知症高齢者の生活空間では,突発的に,70dBを超える音が頻繁に観測されていた。突発音には,利用者の大声・叫び声,利用者が机をたたく音など,BPSDに起因するものが含まれていた。インタビュー調査では,音環境と認知症高齢者のBPSDの関連が示唆された。ケアスタッフの経験をまとめた情報は,利用者に快適な居住環境を提供することを目的としたケアスタッフ教育に利用可能と考えられる。
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