研究課題/領域番号 |
24730496
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 関西国際大学 |
研究代表者 |
安部 幸志 関西国際大学, 人間科学部, 准教授 (90416181)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 高齢者 / ソーシャルキャピタル / 精神的健康 |
研究概要 |
平成24年度は、岐阜県にて行われている頼母子講における経済的活動、つまり金銭のやり取りの有無が高齢者のメンタルヘルスにどのような影響を与えているのか検討した。具体的には、金銭のやり取りを実施している頼母子講と、地域の集まりとして金銭的なやり取りがない頼母子講、そして頼母子講に参加していない群に分類し、それらの間のメンタルヘルスについて比較検討した。 メンタルヘルスの測定には、Geriatric Depression Scale(GDS)を用いた。金銭のやり取りの有無および参加していない群の3群に分割し、一元配置分散分析を行ったところ、有意差が認められた。Tukeyの多重比較を行ったところ、もっともメンタルヘルスが良い状態であったのは、金銭のやり取りがない頼母子講に参加している群であり、頼母子講に参加していない群よりも有意に高得点であることが明らかとなった。 本研究結果は、地域における高齢者の社会的活動を進めていくために、いくつかの示唆を含むものと考えられる。地域の特色ある社会的活動は、地域のつながりを醸成し、高齢者の生きがいとなっていることが考えられ、メンタルヘルスの維持に重要な役割を果たしていると思われる。しかしながら、経済的活動を含む活動よりも、地域のつながりとして活動を行っている群の方がメンタルヘルスが良好であったことから、金銭のやり取りを含む積極的なつながりよりも、穏やかなつながりの方がメンタルヘルスの維持に有効であることが示唆される。しかしながら、本研究結果は単年度の横断研究の結果であり、他の地域における活動についても十分なデータがないため、結論づけることは出来ない。今後はさらなる基礎的データの集積を実施していくことが必要であろう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実証的データの分析を通じて、計画している調査に向けた基礎的資料が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
実証的データを用いて、さらに多彩な分析を実施していく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
予備調査にかかる費用が増大することが見込まれたため、次年度に向けて研究費の繰り越しを行った。
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