研究課題/領域番号 |
24730496
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研究機関 | 関西国際大学 |
研究代表者 |
安部 幸志 関西国際大学, 人間科学部, 准教授 (90416181)
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キーワード | 高齢者 / 社会的活動 / 孤独感 / 精神的健康 |
研究概要 |
わが国においては、人口の高齢化が急速に進むことにより、精神的健康に問題を抱えた高齢者数も増加しつつある。特に少子高齢化が進む地方においては、精神的健康が悪化した高齢者に対する十分な対策が準備出来ておらず、コミュニティにおいても孤立化が進む事が多い。そこで、本研究では、高齢者の精神的健康と地域における社会的活動について検討するために、質的・量的調査を行った。 平成25年度においては、兵庫県加西市において、インタビュー調査および自記式質問紙調査を行い、高齢者の社会的活動と精神的健康および孤独感との関連について検討した。本研究で調査対象としたのは、加西市の中でも里山地域に当たる地区であり、人口密度が低く、高齢化率が高い地区である。インタビュー調査は、平成25年8月末に27名を対象に実施し、質問紙調査は平成25年9月に476名を対象に実施した。本年度は社会的活動として、近所づきあい及びまつりごとへの参加について回答を求めた。精神的健康GDS(Geriatric Depression Scale)の短縮版であるGDS-15を用いて測定した。分析の結果、近所づきあいが十分でない高齢者は有意に精神的健康が低く、また、まつりごとへ参加していない高齢者も有意に精神的健康が低いことが明らかとなった。 本研究により、社会的活動を十分に行っていない高齢者は、精神的健康に問題を抱える可能性が高いことが示唆され、社会的活動を促進していくための施策が必要なことが明らかとなったと考えられる。しかしながら、本研究は限られた地区での調査であるため、より広い範囲での調査によって、知見を確認する必要があると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
年度内にインタビュー調査および質問紙調査の双方を実施する事が出来、実証的データの検討を行うことが出来たため。
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今後の研究の推進方策 |
データに基づき、分析を進めていくとともに、調査地域への還元を進めていく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
年度末の情報収集のための学会参加が取り止めとなったため、出張費に関する金額を次年度に使用することとなった。 研究費によって得られた知見を公表するため、計画的かつ積極的に学会への参加を行う予定である。
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