研究課題/領域番号 |
24730496
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研究機関 | 関西国際大学 |
研究代表者 |
安部 幸志 関西国際大学, 人間科学部, 准教授 (90416181)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 高齢者 / 社会的活動 / 孤独感 / 精神的健康 |
研究実績の概要 |
高齢者のメンタルヘルスを改善するためには、本人の問題だけでなく、地域で精神疾患を抱える者に対してどのような体制を構築していくかが重要である。特に、これまでの研究でソーシャル・キャピタルが重要な要因として抽出されているが、都市部での報告データが多く、山間地域におけるデータは十分ではない。わが国の現状を考慮すると、ますます高齢化が進む地域における調査データの蓄積が強く求められると考えられよう。 本年度はこれまで調査を実施してきた地域における追跡調査を行うことを予定していたが、大規模な調査には調査受入体制の整備が不足していたため、高齢者福祉施設におけるインタビュー調査の実施に留まった。インタビュー調査は、平成26年10月から11月にかけて、兵庫県朝来市の高齢者福祉施設を利用する高齢者20名を対象として行った。各高齢者に対し、インフォームドコンセントを行い、施設責任者の同意を得た上で調査を実施した。調査ではメンタルヘルスに問題を持つ地域在住の高齢者とどのように共存していくか、という内容についてインタビューを行った。また、それと同時に、ソーシャルキャピタル尺度およびK6日本語版調査票からなる質問紙を使用し、インタビュー内容との関連について検討した。分析の結果、高齢者本人の地域行事への参加の有無と精神的健康との間に有意な関連が認められた。また、地域で高齢者のメンタルヘルスを改善していくための重要事項として「無関心にならない」ことがインタビューから抽出され、近隣住民との信頼関係を築くことが必要であることが示唆された。 今後はこの知見をもとに、さらなる広範囲での調査を実施し、データの蓄積を行っていく必要があると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
年度内に大規模調査を予定していたが、現地での調査受入体制整備のため、やや遅れることとなった。来年度には確実に調査を実施する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
データに基づいた分析を進め、積極的にアウトプットを行う予定である。特に調査地域への還元に積極的に取り組んでいきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は大規模調査を予定していたが、現地での調査受入体制の整備のため、次年度に調査を延期することとなった。質問紙調査の実施に伴う、郵送費および印刷費などを次年度に使用する予定である。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は本年度実施が不可能となった大規模な郵送による質問紙調査を予定しており、その調査実施のために経費の大部分を使用する予定である。
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