(1)最終年度に実施した研究の成果:平成26年度の目標は、具体的研究目的③である日本と英国の両ローカルパートナーシップ組織(以下、LPO)の比較を通じたLPOが若年無業者のソーシャル・インクルージョンに与えた影響の実証的な検証、④効果的なLPOによる若年無業者支援のあり方の解明の2 点の達成であった。 平成24年度・25年度で獲得した情報をもとに、日英の若年無業者支援のLPO に関する比較を行い、研究成果をまとめた。あわせて、英国の補完調査を行った。 (2)研究期間全体を通じて実施した研究の成果:本研究の全体構想は、若年無業者支援において、その先進国である英国と我が国との比較を通じて、LPOが若年無業者のソーシャル・インクルージョンに与えた影響を検証することであった。 本研究の結果、主として我が国の若者支援のLPOである子ども・若者支援地域協議会に関する地方自治体への聞き取り調査を通じて、LPOの設置により「行政改革」「他の協議会との連携」「子ども・若者総合相談窓口の設置」「ネットワーク形成の強化」「行政への政策提言」「地域社会への働きかけ」「企業への働きかけ」の点において変化が起こっており、その上で、協議会の設置による影響とは、「個別支援をバックアップする力を形成すること」と「協議会そのものが地域にある諸資源に働きかける力を形成すること」と考察した。このような協議会が進められる背景には、「地方自治体の力」「地域の社会資源」「協議会の法定化」という3点が重要であった。このように、若者支援、とりわけ困難を抱える若者の支援について、ソーシャル・インクルージョンに向けた体制整備が行われている現状を分析することができた。また、英国との比較を通じて、両国ともに社会的企業の役割が増大しており、その機能をどのように位置付けていくのかが課題となっている現状を整理することができた。
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