本研究の目的は、スウェーデンの社会福祉分野において、NPOのアドボカシー機能発揮を可能とする要因を明らかにすることであった。2014年度は、本研究の1~2年目に実施した現地調査等をふまえて、最終的な考察に資する文献収集を行い読み込んだほか、現地でのディスカッションを行い、総合的な考察を進めた。また、スウェーデンの特徴を明らかにするためにも、2015年度も引き続き、日本における福祉分野のNPOの実践や理論を学ぶため、積極的に学会や研修会に参加して、考察に資する知見を得た。加えて、スウェーデンのNPOについて、敢えて社会福祉ではなく、国際協力分野についての専門的知識と助言を受けたことで、個別のNPOが用いる戦略の部分について、体系的な理解につながり、本研究テーマの最終的な考察に向けた大きなヒントを得た。 研究期間全体を通じて、アドボカシーの概念の多角的な検討、個別のNPOの実践や戦略、等を行ったが、NPOのアドボカシー機能の発揮を可能とする要因は、当初考えた以上に、個々の制度政策レベルを超えた、歴史的に社会に構造化され不可視的な部分が大きいことが明らかになった。個別のNPOに関する調査から、アドボカシー機能発揮を可能とする具体的な要因を解明できる部分は無論あったが、その土台にアプローチし、歴史的また社会哲学的な視点からテーマを掘り下げる重要性が明確になった点も、本研究で得られた知見である。この観点から、2014年度中には、特にコミュニティワークの歴史的変遷と関連付た考察を行い、学会発表と、その内容を発展させた論文投稿を行った。2015年度は、本研究3年間の総括となる研究成果を論文として公開していく。
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