本研究では、要支援・要介護高齢者が参加するアクティビティの種類とニーズ、および参加に影響する身体・心理・社会的要因を明らかにすることで、高齢者ケアにおけるアクティビティのあり方を検討する上での基礎資料を提示することを目的とした。介護事業を行う3法人から、居宅介護サービスを利用する高齢者525件分のデータを取得し、分析した。分析の結果、約8割の人が何らかのアセスメントに参加しており、要介護状態であっても高齢者の生活に余暇活動の占める割合が大きいことがうかがわれた。その反面、約7割の人で興味があるが参加しなかったアクティビティがひとつ以上あったことから、要介護高齢者においてアクティビティ支援を行う必要性が示唆された。また、取得したデータはケアマネジャーがケアプラン作成業務のためにアセスメントとして入力したものであり、身体・心理・社会的要因に関する豊富な変数を含んでいたため、要介護高齢者におけるアクティビティ参加にあたえる要因を分析するための貴重な資料を得ることができた。分析の結果、同居者がいる人の方がいない人よりアクティビティに一つも参加しない危険が高かったことが明らかになった。このことは、支援するうえで、対象者の同居者の有無にも注目すべきであることを示唆するものであった。ADLの低下や認知機能障害はアクティビティ参加数と関連がある要因ではなかったが、個々のアクティビティへの参加度に影響を与えていることが明らかとなった。それらがある事によって参加アクティビティの種類の豊富さが失われる可能性が示唆された。このことから、アクティビティ支援においては、全体的なアクティビティへの参加量や活発さのみならず、個々のアクティビティへの参加状況を考慮に入れる必要性が示唆された。
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