研究課題/領域番号 |
24730505
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
佐藤 広英 信州大学, 人文学部, 准教授 (00598691)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 潜在連合テスト / ストレス / Switching IAT |
研究概要 |
平成24年度は,潜在連合テスト(IAT)によってストレス状態を潜在的かつ行動指標で測定できるとする潜在的ストレス測定法仮説の検証を目指し,2つの研究を行った。 研究1では,IATを用いたストレス状態の反復測定が可能か否かを検証した。ストレス操作の前後にIATを実施し,IAT得点(ストレス状態の指標)の増加がみられるかを検討した結果,高ストレス群では,ストレス操作前後でIAT得点の有意な増加がみられた。しかし,IATの2つのメインブロックを行う順序が結果に影響を及ぼしていることが明らかとなった。 そこで,研究2では,メインブロックの順序の影響を排除する新しい方法(試行ごとにランダムに条件を替える;Switching IAT)を開発し,Sato & Kawahara (2012)と同様にストレス状態の変化を抽出できるか否かを検証した。ストレス操作後にSwitching IATを行った結果,高ストレス群では低ストレス群よりもIAT得点が有意に高く,Sato & Kawahara (2012)と同様の結果が得られ,Switching IATの有効性が確認された。 Swithcing IATは,従来のIATと比較して,ブロックの順序効果を排除できるだけでなく,練習ブロックが減ることから時間的短縮も可能である。次年度以降は,Switching IATの妥当性の検証や試行数や刺激の呈示時間の修正などを実施し,より鋭敏なストレス状態の測定手続きの開発を目指していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画では,平成24年度はIATによるストレス状態の測定の検証を行うことを目的とし,2つの研究を行う予定であった。当初計画から特に変更点なく,2つの研究を実施した。その結果,IATによるストレス状態の測定において手続き上の問題があることを示すと同時に,新しいIAT手続き(Switching IAT)を開発し,その有効性を示した。したがって,現在までの達成度としては,「(2)おおむね順調に進展している」という評価が妥当と考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度以降の目的として設定した「IATによる測定法の妥当性の検証」に先立ち,平成24年度に開発したSwitching IATの精緻化を優先課題として研究を進めていく。 研究2において新しいIAT手続きを開発したが,2つの検討課題が残っている。第一に,Switching IATを用いたストレスの反復測定が可能かどうかを検証していない点である。この点については,現在予備実験を実施しており,Switching IATの有効性が示される見込みである。第二に,Switching IATの時間の短縮である。新しいストレス状態の測定法としての汎用化を考えると,出来る限り時間が短い簡便な方法が求められる。そこで,IATの試行数の減少や刺激の呈示時間の短縮化など,測定精度を担保しながら時間を短縮する手続きを検討することとする。 以上のSwitching IATの精緻化が達成された後に,その方法の妥当性検証を行うこととする。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初購入を予定した物品の値段に僅かな変動があったことから70円が次年度使用額として残った次第である。あくまで端数であることから当初の予定からは変更点は一切ない。 また,端数の金額であることから,次年度の研究費の使用計画にも変更点はない。具体的には,パソコン関連の消耗品,実験参加者に対する謝品(文房具),心理学関連資料(文献),実験補助者への経費,実験参加者管理のためのウェブコンテンツの年間使用料,平成24年度の研究成果の発表や情報収集のための国内学会(日本心理学会・日本社会心理学会,日本パーソナリティ心理学会等)への旅費,研究成果を海外論文誌に公表するための英語論文校閲費に使用する予定である。
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