研究課題
若手研究(B)
本年度は、社会関係における規範の成立として、最も基本的な人間関係である友人関係に焦点を当てた。具体的には、友人関係における非互恵的利他性の規範がいかにして形成されるかについて検討を行った。非互恵的利他性の信念は、「友人に対しては相手に見返りをきたせずに助けるべきだ」という信念である。本研究は友人関係が人々が病気は怪我などといった危機を管理するための装置であるという友情の進化仮説に基づいて、かけがえのない人を助けることで、相手からもかけがえのない人と思われることで、互いにかけがえのない関係を形成し、危機管理を行っていることを検証した。友人ペアの調査を行った結果、友人同士のサポートはかけがえのなさを高めることによって、非互恵的利他性の信念を高めることが明らかとなった。その結果については日本グループダイナミクス学会で発表された。また、かけがえのない関係を作ることが、友人関係における適応を高めることを別の調査結果から明らかとなった。この結果は日本社会心理学会で発表を行った。また、初年度行う予定であった大規模なWeb調査は、次年度に実施予定であり、それに伴い予算の繰り越しを行った。計画の若干の修正はあったが、順調に研究は遂行され、発表も行われた。
3: やや遅れている
当初予定していた大規模Web調査を次年度にまわしたため、若干の遅れがあるが、次年度の4月に実施予定であるため、それほど大きな遅れはないと思われる。
去年度実施予定だったWeb調査を行うとともに、日本とカナダでの国際比較調査を夏から秋にかけて実施予定である。
国内Web調査に加えて、日本とカナダの比較調査をWebを用いて実施する。前年度未実施だった国内Web調査について、1000名程度を対象に調査を実施するため80万程度を使用する。この額は前年度使用予定だったものと同額である。また、日加間調査については、それぞれ400名、合計800名を対象に、70万程度を使用する。
すべて 2013 2012 その他
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (7件) 備考 (1件)
Journal of Cross-Cultural Psychology.
巻: in press ページ: in press