研究課題/領域番号 |
24730509
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
清水 裕士 広島大学, 総合科学研究科, 助教 (60621604)
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キーワード | 社会規範 / 当為的信念 / 伝達学習 |
研究概要 |
本研究は社会規範における当為的信念(~すべきである)の形成メカニズムを明らかにすることを目的としている。 これまでの研究成果を踏まえ,本年度は社会規範を遵守させるための命令がが,直接的な伝達ではなく,間接的な伝達によって行われる可能性について検討を行った。また,その間接的伝達の方略に文化差がある可能性に着目し,文化比較研究の準備を行った。 2つのWeb調査の結果から,他者に要求を伝達する場合に遠回しな言い方をする方略が,その他者を内的状態(友人関係なら友情を,上下関係なら忠誠を)を査定する機能を持つことが示唆された。具体的には,1.要求を断れない状況であること,2.関係が固定的で集団から離脱しにくいことの2つの条件がそろうことで,直接的な要求に従うことはそれが断れなかったから従ったのか,本当にそれを行うべきであると判断したから行動したのかが区別できなくなる。この場合,間接的な要求を行うことで,要求に従わなければならない状況をなくすことで,それでも要求に従った場合に内的状態の類推が可能となる。つまり,上司にとっても規範遵守のための命令を間接的に行う機能が存在していることが明らかとなった。 これらの成果は,社会規範における当為的信念を伝達方法によって査定することによって,逆にフォロワーにとっても当為的信念の形成が機能的である可能性を示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
社会規範の当為的信念の形成のメカニズムについて,伝達方略によってその信念事態を査定する可能性が示された。今年度中に文化比較を行う予定であったが,それは来年度に実施することになった。
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今後の研究の推進方策 |
今年度得た結果に基づいて,文化比較研究を行う予定である。 比較国はアメリカとオーストラリアを対象とする。 方法は,Web調査などに基づいて実施する。
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次年度の研究費の使用計画 |
文化比較のためのWeb調査を行う予定であったが,調査会社の仕様が変更になり,調査実施が間に合わなかったため。 次年度の前半にWeb調査を実施予定
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