研究実績の概要 |
態度空間の三次元モデルを二種類のデータに対して適用し,学会報告や論文の成果を得た。 実績のひとつとして,旅行者を対象にしたデータについてのモデリングを行い,多層化したデータを表現する新たな手法を開発した。これは,これまである座標(x,y)にある対象pの発する力として誘引価(V(p))を置いていたのに対し,それぞれ力を持つ二点(x_1,y_1)と(x_2,y_2)の中点(x_m,y_m)にV(p)を置き,残りの点を補間するモデルである。この方法は,高度に障壁としての意味を持たせることができることから,結果の解釈を容易にするという利点がある。加えて,今まで心理的なデータに対して応用を重ねてきたが,この手法では実際の地理的座標に社会的,経済的,心理的障壁という様々な種類のデータに拡張可能であることなどから,汎用性の高いモデルになっていると考えられる。この方法と従来の方法を比較しながら,今後の展開を考えていきたい。 また今一つの実績として,これまで3種類の空間補間法が考えられていたが,これらをモデル適合度の観点から評価する方法を開発し,小集団に対するモデリングとしては,最も古典的なモデルであったAbelson法の適合度が最も良いことを明らかにすることができた。この成果は論文として刊行された。 今後はこうした展開を踏まえて,新しいモデルを適合度の観点から評価し,様々なシーンにおけるモデルの選択方法を示す。その上で,描画された空間モデルを動的に動かすシミュレーション研究に展開していくことが計画されている。
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