態度空間の三次元モデルの応用領域を広げ,学会報告や論文の成果を得た。 応用領域として,研究計画段階から,小集団のコミュニケーション構造と観光心理学における選好マッピングなどをあげたが,これに加えて家族関係の描画,対人印象の時系列的変化などに応用し,学会発表を行った。
26年度の末の業績として,従来の空間補間法をモデル適合度の観点から評価する方法を提案し論文化したことが挙げられる。ここでは最も古典的なモデルであるAbelson法の適合度が最も高いことを示した。この研究を応用するために,27年度初頭に小集団実験を企画し,時系列的な対人印象の変化をモデル化するという応用に踏み切った。ここでは時系列的な変化を重視するため,対人構造の記述にあたって新たにベイズ統計学の知見を盛り込み,事前分布の情報を活用したモデルを作ることの有用性を論じ,学会発表を行った。この結果から,対人関係の動的なモデルに対するベイジアンアプローチの有用性が示され,これに基づいた対人態度モデルを刷新する可能性が開けたことも,今年度の成果の一つである。
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