研究課題/領域番号 |
24730512
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研究機関 | 常磐大学 |
研究代表者 |
太幡 直也 常磐大学, 人間科学部, 助教 (00553786)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | プライバシー / 自己情報 / 情報公開 / 迷惑行為被害 / プライバシー意識尺度 |
研究概要 |
本研究課題は、自己情報へのプライバシー意識が迷惑行為被害に与える影響を心理学的観点から検証することを目的としている。自己情報を必要以上に公開すると、見知らぬ者から連絡を受けるといった迷惑行為被害を受けやすくなると想定される。このような迷惑行為被害は、詐欺などの犯罪被害につながる可能性もあるため、迷惑行為被害を未然に防ぐための方策が必要となる。本研究課題では、ある自己情報へのプライバシー意識が低いと、その自己情報を他者に公開しやすいか否かを、実際の行動を測定して実験的に検証することを目指す。 平成24年度は、プライバシー意識尺度の作成のための実証研究を実施した。申請者は、これまでの研究において、それぞれの自己情報について他者に知られたくないと思う程度を測定する尺度(プライバシー次元尺度)を開発している。しかし、個人が自他のプライバシーを意識する程度の個人差に着目すると、自己情報へのプライバシー意識が自己情報の公開に与える影響を多面的に検討することができると考えられる。 以上のことから、平成24年度は、個人が自他のプライバシーを意識する程度を測定する尺度(プライバシー意識尺度)を作成するために、二つの質問紙調査を実施した。研究1では、プライバシー意識を測定するための項目を選定し、それぞれの項目に自分が当てはまる程度を評定するように求めた。評定得点を因子分析した結果、“自己のプライバシーへの意識”、“他者のプライバシーへの意識”、“他者のプライバシー維持行動”の3因子を抽出した。加えて、3因子の信頼性を確認した。研究2では、研究1で抽出した3因子の妥当性を検討し、抽出した3因子の概念的妥当性を確認した。なお、研究1の結果は、日本心理学会第77回大会(平成24年9月実施)にて発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度は、当初の研究計画では、ある自己情報へのプライバシー意識が低いと、その自己情報を他者に公開しやすいか否かを、実際の行動を測定して実験的に検証することを予定していた。しかし、個人が自他のプライバシーを意識する程度の個人差に着目すると、自己情報へのプライバシー意識が自己情報の公開に与える影響を多面的に検討することができると考えられる。そこで、実験の準備段階として、個人が自他のプライバシーを意識する程度を測定する尺度(プライバシー意識尺度)を作成することとした。二つの質問紙調査により、プライバシー意識尺度の信頼性、妥当性を検証することができた。 また、他者に公開された情報を測定する実験研究の準備を進めている。実験参加者同士がお互いのプロフィールを公開しながらチャットを行う状況を設定し、実際に他者に公開すると選択された自己情報を測定する研究を実施することを予定している。平成24年度中に実験参加者にパソコンを用いて呈示するプロフィール画面を作成し終えており、現在、実験実施のための準備を進めている。平成25年度初頭には実施予定である。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、(1)実証研究の実施、(2)研究結果の公表を予定している。以下、具体的に示す。 (1)実証研究の実施:ある自己情報へのプライバシー意識が低いと、その自己情報を他者に公開しやすいか否かを、実際の行動を測定して実験的に検証する研究を実施する予定である。現在、実験実施のための準備を進めている。平成25年度初頭には実施予定である。実施後、得られたデータを分析し、研究結果の公表のための準備を順次進めていく予定である。なお、上記の研究結果を詳細に分析することが本研究課題の解明に重要であると考えたため、当初の研究計画で予定していた、自己情報へのプライバシー意識と迷惑行為被害の因果関係を検証する調査研究は実施を見送ることにする。 (2) 研究結果の公表:平成24年度に実施した研究の結果は、以下の二つの方法で公表する準備を進めている。第一に、研究2の結果については、本年度開催される、日本心理学会第78回大会にて発表する。第二に、研究1、研究2の結果を併せ、学会誌(「パーソナリティ研究」を予定)に論文を投稿する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は、現在準備している、ある自己情報へのプライバシー意識が低いと、その自己情報を他者に公開しやすいか否かを、実際の行動を測定して実験的に検証する研究を実施する予定である。実験を実施するにあたり、実験参加者への謝礼品、実験説明やデータ入力を担当する実験補助者への人件費が必要となる。また、得られたデータを分析する際に使用する統計的分析に関する図書費、研究結果の公表する際に使用するプライバシーに関する図書費が必要となる。さらに、昨年度の研究成果の公表や情報収集のための国内学会(日本心理学会、日本社会心理学会、日本グループ・ダイナミックス学会など)への旅費、学会参加費、研究結果の公表のための論文アブストラクトの校閲費が必要となる。
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