研究課題/領域番号 |
24730513
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研究機関 | 十文字学園女子大学 |
研究代表者 |
長田 瑞恵 十文字学園女子大学, 人間生活学部, 准教授 (80348325)
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キーワード | 性格特性理解 / 原因帰属 / 内的要因 / 外的要因 / 幼児と成人 / 行為者との関係性 |
研究概要 |
【研究2】第1年度(平成24年度)に引き続き,原因帰属推論としての性格特性理解 第1年度は心の理解の一側面として性格特性の理解に焦点を当て,結果の原因の帰属先や行為者の違いによって幼児の性格特性推論が影響を受ける可能性について検討することを目的とした。その際,提示刺激中の主人公である幼児が「一般的な幼児」であるか「自分・又は自分の子ども」であるかを要因に加えた。 *被験者:3・4・5歳児各30名,成人517名 *実験計画 年齢(4)×主人公の動機(ポジティブ;P,ネガティブ;N)×結果(P,N)×提示順序(動機先,外的要因先)×主人公との関係(他者・自分の子)の5要因配置。 動機,結果は被験者内要因,年齢と提示順序,主人公との関係は被験者間要因。 *手続き:動機(P,N)×結果(P,N)×提示順序(動機先,外的要因先)の3条件を操作したストーリーを作成し,被験者に対し主人公の動機と結果の組み合わせ(PP,PN,NP,NN)を操作した8つのストーリーを静止画と共に提示し,①どうして「結果」は生じたか,②主人公は良い子か悪い子か,③ ②の判断理由を質問。 *結果 現時点で成人の分析が終了している。その結果,以下の点が明らかになった。1. 原因帰属 主人公が他者条件では動機と外的要因の提示順序の効果が明らかとなったが,特に動機と結果がともにネガティブな条件では,内的な要因が先に提示されると主人公が自分の子どもの場合に「悪い子」判断が多かった。 2. 特性推論とその根拠 主人公が他者の子どもか自分の子どもかによって,各要因の主効果や交互作用の有無や方向性が異なった。以上の結果から,原因帰属推論を成人がする場合には,動機や結果だけでなく,行為者との関係性が判断に影響することが示された。 幼児データは現在分析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
成人に関してはデータ収集及び分析も終了している。一方,幼児に関してはデータ収集は終了したものの,個別面接による聞き取り調査だったため,データの分析に時間がかかり,当初予定していた3月末までにすべての分析を終えることができなかった。しかし,データは揃っており,分析も順調に進んでいるため,研究全体としてはおおむね順調に進んでいると考える。
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今後の研究の推進方策 |
第3年度である平成26年度は,第2年度である平成25年度から引き続いて,研究2の縦断的検討を行う。研究2を第3年度の年度初頭の6月頃と,年度終盤の1月頃に行うことによって,2年間に亘る各要因の発達の順序性や相互の関係の詳細について検討する。 【研究2-2】幼児における性格特性理解における行為者の違いの影響 *被験者:研究2の被験者のうち,平成25年度に4・5歳児クラスに在籍する子ども各30名(合計60名) *調査時期 第3回調査平成25年6月頃,第4回調査平成26年1月頃 *使用機材・手続・分析:研究2と同じ。 ◇研究2の研究実施上の工夫 研究2のデータ収集は埼玉県,東京都,神奈川県を中心とした地域で行う。実験実施には購入予定のノートパソコンを使用し,データ収集には購入予定のデジタルビデオカメラ,記憶媒体を使用し,分析にはトランスクライバ,ノートパソコン,ソフト,プリンタを使用する。実験実施と説明課題の発話プロトコル分析には,学生アルバイトを15名雇用する。研究成果は日本心理学会,日本発達心理学会などで発表する。
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次年度の研究費の使用計画 |
当該年度の実支出額のうち,主に旅費が予想より低く収めることができたため,次年度使用額が21,544円となった。これは,大学近隣に主な調査協力園を確保できたためにデータ収集のための旅費が少なくて済んだことに起因する。 最新の研究動向を勉強するために次年度は海外学会へ参加するなど,大きな額の使途をいくつか予定している。 合わせて,幼児を対象とした研究も2回になるため,研究協力園でのデータ収集のための旅費も増加することが予想される。 そういった目的に使用する予定である。
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