研究課題/領域番号 |
24730516
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研究機関 | 愛知学院大学 |
研究代表者 |
児玉 さやか(菅さやか) 愛知学院大学, 教養部, 講師 (30584403)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ステレオタイプ / 差別 / 偏見 / 言語コミュニケーション |
研究実績の概要 |
平成26年度は、前年度に引き続き、900名を対象にして実施したインターネット調査のデータ分析を進めた。前年度の分析では、日本社会において、宗教団体や外国人に対する否定的な差別・偏見と、障害者に対する慈悲的な差別・偏見が広く共有されていることが明らかになっていた。しかし、平成26年度の分析では、日本社会において人々が個人的に感じている差別・偏見の対象には障害者が含まれていないことが判明した。すなわち、障害者に対する差別・偏見は、社会的な規範によって作られた副産物である可能性が示唆された。これらの分析によって、日本社会における差別・偏見の具体的な内容を明らかにすることができた。この研究成果を第16回Society for Personality and Social Psychology年次大会において発表し、国内外の研究者と本研究で得られた結果について議論を行なった。 年度の後半には、差別・偏見が言語コミュニケーションを通して共有される過程を明らかにするために、実験室実験に着手した。90名の大学生を対象に、連鎖再生法を用いた実験を実施した。実験では、参加者の所属する大学において、近隣の大学に対してポジティブまたはネガティブな印象が共有されていることを示す架空のアンケート結果を提示した。これにより、近隣の大学に対する共有的なステレオタイプの評価性を操作した。そのアンケート結果を読んだうえで、近隣の大学に通うある人物の情報を、参加者と同じ大学に通う人物に伝えるよう教示した。平成26年度は、この実験のデータ収集までを終え、分析は平成27年度に実施する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成24年度以降、申請者の所属機関の変更が続いたため、研究環境を整えるのに時間がかかり、研究の推進に遅れが生じた。平成25年度に実施する予定であった実験室実験を平成26年度に実施することとなり、データ収集までは終えることができたが、データの分析には着手できていない。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度には、平成26年度中に収集した実験のデータを分析する。アルバイトを雇用し、実験によって集められた言語データの内容分析(コーディング)を実施する。実験によって得られた結果から、言語コミュニケーションを通して差別・偏見が共有される過程を示すモデルを構築することを目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度に実施した実験の開始時期が遅かったために、アルバイトを雇用し、得られたデータの内容分析を行なうまでに至らなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成26年度に実施した実験で集めた言語データの内容分析を実施するにあたり、複数名のコーダーをアルバイトとして雇用する必要がある。また、これまでの研究成果を学会等で公表するためにも助成金が必要となる。
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