研究課題/領域番号 |
24730520
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研究機関 | 椙山女学園大学 |
研究代表者 |
加藤 容子 椙山女学園大学, 人間関係学部, 准教授 (80362218)
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キーワード | ワーク・ファミリー・コンフリクト / ワーク・ファミリー・ファシリテーション / 対処 / 共働き夫婦 |
研究概要 |
本年度は、まず仕事と家庭の両立生活におけるポジティブな面を測定するワーク・ファミリー・ファシリテーション尺度に関する昨年度実施の調査データを用いて、分析を実施した。主成分分析の結果、「時間ベースの家庭→仕事促進」「時間ベースの仕事→家庭促進」「エネルギーベースの家庭→仕事促進」「エネルギーベースの仕事→家庭促進」「行動ベースの家庭→仕事促進」「行動ベースの仕事→家庭促進」の6つの下位尺度から構成されることが確認された。その後信頼性分析と基準関連妥当性を確認する分析を実行したところ、それらはおおむね認められた。ただしより精度を高めるために、一部の質問項目の表現を修正する必要があると考えられた。また、仕事と家庭の両立生活におけるネガティブな側面であるワーク・ファミリー・コンフリクトとの関連を検討したところ、男性では両尺度間の相関がそれほど見られず、女性では高い相関が見られたという男女間の差が明らかとなった。 これらの成果について、産業・組織心理学会第29回大会で報告し、それをふまえた考察を経営行動科学学会第16回大会で発表した。また、仕事と家庭の両立生活をキャリア発達課題の観点からとらえなおす論考を産業ストレス研究に投稿した。 本年度の成果としては、仕事と家庭の両立生活を総合的に測定するための尺度作成がおおむね完成されたこと、両立生活のポジティブな面とネガティブな面の相関についての基本的な情報が得られたことである。わが国における仕事と家庭の両立生活を、総合的にかつ実証的に検討するための基礎的なデータとその分析結果の基本的情報を提示したという点で、重要な意義があったと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度の目的の第1は、ワーク・ファミリー・ファシリテーション尺度の構成について、成果を国内の学会で発表することであり、これは、日本産業組織心理学会第29回大会での発表で達成された。 目的の第2は作成したワーク・ファミリー・ファシリテーション尺度に加えて、ワーク・ファミリー・コンフリクト、仕事領域の要因、家庭領域の要因、ワーク・ファミリー・コンフリクトへの対処を含めて調査を実施することであった。平成24年度と同様に調査会社に委託してWeb調査を実施し、共働き成人男女計400名のデータが収集され、この点も達成された。ただし、調査実施終了が平成25年度3月末であったため、支払いは平成26年度4月に持ち越された。 さらに、第2回調査データをふまえて分析することが目的とされていたが、これは第1回調査データの分析に代えられた。第1回調査データの詳細な分析結果は、平成26年度7月に開催される国際応用心理学会で発表するために、平成25年12月に投稿され、本年2月に受諾されている。 以上より、多少の遅れや変更があるものの、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度には、国際学会での発表と議論をふまえて、第2回調査データを用いた詳細な分析を実施し、仕事と家庭の両立生活における心理的体験のプロセスモデルを構成することを目的とする。 さらに、第2回調査への協力者を対象とした第3回調査を実施し、コンフリクトへの対処やファシリテーションが仕事満足感、家庭満足感、仕事うつ傾向、家庭うつ傾向に与える影響について、縦断的データを分析して検討する。 最後に、これらの分析結果について国内学会で報告した後、論文にまとめ投稿することを目的とする。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年には当初予定していたWeb調査を実施し、予算はすべて調査会社への委託金として使用する予定であった。しかし、調査終了が平成25年度3月末であったため、支払いが平成26年度に持ち越された。 予算はすべて調査会社((株)インテージ)への委託金として使用する。 今回の調査で当該会社を委託先として選択した理由は、平成24年度に実施した第1回調査も委託しており、信頼性が担保されていること、第1回調査への協力者を今回調査でも一部対象とするため、データ収集の必要性があったことであった。
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