本研究では,画像注視時の乳児の視線パタンに着目し,顔認知の発達過程を検討した.視線パタンの類似度を定量化する手法を開発し,生後6ヵ月から13.5ヵ月までの乳児を対象として視線パタンを分析したところ (1)顔画像に対する視線パタンは発達と被験者間で共に互いに類似してくること,(2)家画像に対してはその変化がみられなかったことが示された.このことは,顔特有の認知的処理が発達と共に習熟化・効率化してくる様を捉えたと考えられる.また健常な成人及び自閉症スペクトラム障害者(ASD)に複数の顔画像を見せたところ,(3) ASDは顔特有の認知的処理が健常者ほど習熟化・効率化していないことが示唆された.
|