研究概要 |
本年度の研究目的は、初対面場面の対人コミュニケーションを日本人と中国人で比較して、両者の共通点と相違点を明確化することであった。 日本人は未知関係の女性20組40名(平均年齢19.20歳, 標準偏差0.99歳)が参加した。中国人は未知関係の女性20組40名(平均年齢20.50歳, 標準偏差0.72歳)が参加した。話題条件は、キャンパス・ライフについて3分間自由に話す「親密話題」条件と、社会的問題を3分間議論して結論を出す「討論話題」条件の2つがあった。会話の様子はVTRで撮影した。会話終了後に質問項目(自己呈示動機、対人コミュニケーション認知)に回答を求めた。最後にディブリーフィングを行い, 終了した。撮影した会話の音声映像を見ながら訓練を受けたコーダーが、笑顔・発話・うなずき・視線の生起時間を定量化した。 自己呈示動機に関して、日本人も中国人も、親密話題では外見的魅力と個人的親しみやすさを、討論話題では有能さと社会的望ましさをアピールしていた。相違点は、中国人に比べて日本人は外見的魅力をよりアピールしていた。 コミュニケーション行動に関して、日本人も中国人も討論話題よりも親密話題で発話が多かった。相違点は、全般的に日本人は中国人に比べてうなずきが多かった。また、 日本人はうなずく量を話題に応じ変えていたが、中国人は一貫してうなずきが少なかった。加えて, パーソナル・スペースの日中差から, 初対面でも日本人の快適距離は中国人に疎外感を生じさせ, 中国人の快適距離は日本人に圧迫感を生じさせる恐れがある。 コミュニケーション認知に関して、日本人も中国人も、討論話題より親密話題のコミュニケーションをポジティブに認知していた。相違点として、日本人よりも中国人のほうがポジティブなコミュニケーション認知であったことが挙げられる。
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