研究課題/領域番号 |
24730526
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研究機関 | 帝塚山大学 |
研究代表者 |
谷口 淳一 帝塚山大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (60388650)
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キーワード | 友人からの評価 / 友人関係 / 自己効力感 / 精神的健康 / 自己確証理論 / 自己高揚理論 / 自己呈示 / 大学新入生の大学適応 |
研究概要 |
本研究では、適切な友人からの評価が友人関係のサポート授受を高め、良好な友人関係の形成、維持に繋がり、さらに、関係外での積極的な活動を促すとの仮説モデルを設定し、検証を行うことを目的としている。 今年度はまず平成25年度に実施した親密な同性友人関係を対象とした横断的調査(研究1)の結果について再分析と再検討を行った。本調査の結果については11月に開催された日本社会心理学会第54大会にて口頭発表を行ったが、友人から関係関連領域で自己高揚的な評価を受けることは関係良好性を高めるという予測は明確に示されたものの、特定的な領域で自己確証的な評価を友人から受けることが関係良好性に繋がるという影響はみられなかった。そこで自己確証理論など先行研究の再検討などを行い、仮説モデルの修正を行った。そして新たな修正モデルのもと、調査結果について再分析を行い、友人からの評価が自己効力感や精神的健康に与える影響について検討した。予想を支持する結果が得られ、総合的領域ではポジティブな評価を得ていることが、個別的領域では自己確証的な評価を得ていることが自己効力感や精神的健康を高めることが示された。この結果については7月開催の日本社会心理学会第55回大会にて口頭発表を行い報告する。 また、今年度は平成26年度に実施する大学新入生の友人関係プロセスを明らかにするための縦断的調査(研究3)に向けた予備的研究として検討する変数を絞った上で5月上旬と10月上旬に大学新入生を対象とした縦断的調査を行った。その結果いくつかの問題点、修正を要する点が明らかになった。先述した修正モデルも踏まえ、検討事項や調査項目の整理を行い、平成26年度に実施する大学新入生への調査準備を整えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
全体的に当初の予定より遅れている。これは初年度に行った研究1の結果についての再検討、そして理論の精緻な見直しが必要となったためである。そのため、平成25年度については新たな研究を実施することをあえて急がず、修正モデルの完成を待ち、それに基づき実施することとした。また、研究3の大学新入生に対する縦断研究を確実に実施するために平成25年度は当初の予定になかった予備的検討を行った。これらの理由で当初の予定より進行が遅れていると言える。ただ、修正モデルが完成し、研究の準備を十分に行うことができたため、平成26年度は確実に予定した研究を行うことができると考えており、全体としては当初の研究計画を履行できる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度については、平成25年度の予備的検討を踏まえ、研究3の「大学新入生の友人関係形成プロセスを明らかにするための縦断的調査」を実施し、研究1の結果を踏まえた修正モデルの検討を行う。2つの大学の新入生を対象に4月、7月、10月、1月に調査を実施する。並行して、研究2「友人からの評価が共同関係的な応答性に与える影響についての観察実験」、研究4「既存の友人関係を対象とした介入実験」および「友人からの適切な評価を引き出す自己呈示の検討」を行う。いずれも既に実験参加者の確保の目途も立っており、研究の準備は整っている。平成26年度は研究最終年度であるため、後半は以上の研究結果をまとめ整理し、国内外の学会での発表および論文投稿の準備を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
現在までの達成度の理由で述べた通り、平成25年度に実施予定としていた研究のいくつかを平成26年度に行うこととしたため、平成25年度に研究の実施に伴う研究費が必要となった。 本年度は前年度実施予定であった4つの研究を実施するため、その研究の遂行に研究費が必要となる。また当初の予定通り国内外の学会での発表や論文投稿に関わる研究費が必要となる。
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