研究課題/領域番号 |
24730526
|
研究機関 | 帝塚山大学 |
研究代表者 |
谷口 淳一 帝塚山大学, 心理学部, 准教授 (60388650)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 友人からの評価 / 友人関係 / 自己効力感 / 精神的健康 / 自己確証理論 / 自己呈示 / 大学新入生の大学適応 |
研究実績の概要 |
本研究では、友人から総合的な領域や関係関連領域では自己高揚的な評価を、特定的な領域では自己確証的な評価を得ていると認知することで、自律、親交、一貫性という3つの自己関連動機を満たすことができ、そのような友人からの評価が友人関係のサポート授受を高め、良好な友人関係の形成、維持に繋がり、さらに、関係外での積極的な活動を促すとの仮説モデルを設定し、検証を行うことを目的としている。 今年度は、平成25年度に実施した予備的検討を踏まえ、研究3の「大学新入生の友人関係形成プロセスを明らかにするための縦断的調査」を実施し、研究1の結果を踏まえた修正モデルの検討を行った。関西圏の2つの大学の新入生を対象に5月、7月、12月に3回の調査を実施した(12月の調査は1つの大学のみで実施した)。186名の大学新入生が調査に参加した。5月時点に友人からどのような評価を付けているのかが、7月時点の関係内居場所感(大学の友人たちと一緒にいる時の自己有用感と本来感)に与える影響について分析したところ、友人からどのような領域においても自己高揚的な評価を得ていると5月に認知していれば、7月時点の友人関係内での自己有用感も本来感も高くなっていた。また、友人から総合的な領域で自己確証的な評価を得ていることはその後の自己有用感、本来感を高めており、5月時点での関係関連領域においての友人からの他者評価が低い場合にのみ、自己確証的な評価を得ていることがその後の本来感を高めていた。特定的な領域で自己確証的な評価を得ていることの効果はみられず、総合的な領域や関係関連領域で効果がみられたことについては様々な解釈が考えられるが、関係内での居場所感という指標の特殊性を考慮に入れて考察を試みている。本研究の結果については10月に開催される日本社会心理学会第56回大会にて発表を行い報告する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
全体的に当初の予定より遅れている。これは、平成26年度に実施した研究3の大学新入生に対する縦断研究を実施したうえで、その結果を踏まえ、残りの研究である研究2「友人からの評価が共同関係的な応答性に与える影響についての観察実験」、研究4「既存の友人関係を対象とした介入実験」および「友人からの適切な評価を引き出す自己呈示の検討」を行うことにしたからである。そのため、研究期間を1年延長することとした。
|
今後の研究の推進方策 |
平成27年度については、平成26年度に実施した縦断研究の結果を踏まえ、研究2「友人からの評価が共同関係的な応答性に与える影響についての観察実験」、研究4「既存の友人関係を対象とした介入実験」および「友人からの適切な評価を引き出す自己呈示の検討」を行う。いずれも既に実験参加者の確保の目途も立っており、研究の準備は整っている。平成27年度は研究最終年度であるため、後半は以上の研究結果をまとめ整理し、国内外の学会での発表および論文投稿の準備を進める。
|
次年度使用額が生じた理由 |
現在までの達成度の理由で述べた通り、平成26年度に実施予定としていた研究のいくつかを平成27年度に行うこととしたため、平成26年度に研究の実施に伴う研究費が必要となった。
|
次年度使用額の使用計画 |
本年度は前年度実施予定であった3つの研究を実施するため、その研究の遂行に研究費が必要となる。また当初の予定通り国内外の学会での発表や論文投稿に関わる研究費が必要となる。
|