本研究は、イマジナリーコンパニオンの役割、および幼児期のイマジナリーコンパニオンと自己内対話の関係について検討することを目的とした。2015年度は次のことをおこなった。 1)イマジナリーコンパニオンと自己内対話の関係性を検討するため、幼稚園教諭への聞き取りと予備観察をもとに抽出した空想世界を楽しむ様子が見られる2児を対象とした継続観察について分析を進め学会発表をおこなった。発表内容は、空想世界を作り出す傾向を強く有していると思われる2児の対人関係の持ち方などに共通性がみられるのかに関してと、どのような場面でどのような内容の空想世界を展開するのかについてであった。 2)大学生を対象にした質問紙調査を実施し、イマジナリーコンパニオンや移行対象を有した経験の有無やそれに対するイメージなどについてたずねた。イマジナリーコンパニオンや移行対象を有した経験のない者はある者と違い、特に目で見ることができないタイプのイマジナリーコンパニオンに対してネガティブな印象を強く抱いていることなどが示された。また、質問紙の対象者の中から有した経験のある対象者に協力を依頼し、インタビュー調査もおこなった。 3)イマジナリーコンパニオンを有した経験のある子どもを持つ保護者を対象にもインタビュー調査をおこなった。その結果、子どもがイマジナリーコンパニオンについて語ったり、それと交流を持つことについて家族はポジティブに受け止め、そのやりとりにも参加していたことがわかった。
|