平成26年度は,問題解決スキル訓練による対人行動改善効果の遅発性および持続性について検討した。 平成25年度の研究に参加した甲信越地方の公立小学校に在籍する小学5年生(研究参加当初)計136名について,介入終了から約6ヶ月後および約1年後の時点で追跡調査を行った。調査内容は,平成25年度の介入効果評定内容と同様に,向社会的行動,攻撃行動,引っ込み思案行動について,質問紙による自己評定および教師評定を行った。 分析の結果,実験群では,自己評定における向社会的行動の増加効果と攻撃行動の減少効果が6ヶ月後および1年後にも維持されていた。引っ込み思案の減少効果は,6ヶ月後および1年後まで維持されなかった。教師評定における向社会的行動の増加効果は,6ヶ月後および1年後まで維持されていた。 比較対照群では,自己評定における向社会的行動の増加効果は維持されていたものの,攻撃行動および引っ込み思案行動の減少効果は維持されなかった。教師評定でも同様に,向社会的行動の増加効果は維持され,攻撃行動の減少効果は維持されなかった。 結果を要約すると,問題解決スキル訓練の効果の遅発性は本研究においては認められなかったものの,特に攻撃行動の減少という点において効果の持続性が認められた。
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