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2013 年度 実施状況報告書

アスペルガー障害をもつ児童生徒を対象とした抑うつ予防プログラムの効果の検討

研究課題

研究課題/領域番号 24730535
研究機関愛知教育大学

研究代表者

小関 俊祐  愛知教育大学, 教育学部, 講師 (30583174)

キーワードアスペルガー障害 / 抑うつ / 児童 / 生徒 / 認知行動療法
研究概要

本研究課題の目的は,アスペルガー障害をもつ児童生徒を対象とした,抑うつ予防プログラムを開発し,その有効性について検討することであった。アスペルガー障害をもつ児童生徒にとっての抑うつの問題は,アスペルガー障害の二次障害として発現し,いじめや不登校の背景の1つとなっており,アスペルガー障害をもつ児童生徒の抑うつに関わる心理社会的要因の影響性について検討し,その知見をもとに,抑うつ予防を念頭においた学校適応促進プログラムを開発し,学校現場における適用の有効性を実証的に検討していく。
平成25年度は抑うつ予防プログラムを試行し,心理的介入による抑うつ低減効果を一部実証することが可能になった。また,アスペルガー障害をもつ児童生徒と,一般の児童生徒における心理的介入の有効性の差異を明らかにすることを目的として,一般の児童生徒や,アスペルガー障害以外の発達障害をもつ児童生徒,その他の心理的負荷を抱える児童生徒を対象とした心理的支援も行い,その有効性の差異について,検討することができた。
具体的には,認知行動療法に基づく心理的介入は抑うつ低減効果があることが複数の実践の成果から明らかにすることが可能になったが,その中でも特に,一般の児童生徒の中で,抑うつのリスクを抱える児童生徒に対しては認知面に重きを置いたプログラムの効果が高い一方で,アスペルガー障害を含む発達障害をもつ児童生徒に対しては,社会的スキル訓練に代表される行動面に重きをおいたプログラムが有効である可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究課題に関連した,アスペルガー障害をもつ児童生徒と,その他の発達障害をもつ児童生徒,心理的負荷を強く経験した児童生徒など,さまざまな対象の児童生徒に対して,抑うつ低減プログラムを試行することができ,一定の有効性を確認することができたことは大きな成果であると考えられる。その一方で,断片的な試行に終わり,包括的なプログラムの実施に至らなかったのは,大きな課題であるため,今後の課題として力を入れて取り組んでいく予定である。

今後の研究の推進方策

平成26年度は,研究計画のまとめとして,これまでの研究成果を学会等で発表するとともに,包括的プログラムの実施に力を入れて,取り組んでいく。これまでの本研究課題の成果によって,さまざまな心理的負荷を抱える児童生徒に対して,認知行動療法に基づく抑うつ低減を目的としたプログラムが有効であることが明らかになりつつある。その中でも,特にアスペルガー障害をもつ児童生徒を対象として,学校現場を介入の土台として考えた時に,どのような支援が有効であるのか,ということを明確にすることが必要であると考えている。

次年度の研究費の使用計画

支出を計画していた論文の抜き刷りの請求が,当該年度中に届かなかった。
現在までの研究成果を公表するために,International Congress of Applied Psychologyに参加し,発表を行うことを計画している。発表演題Individual social-skills training for a child with Asperger’s syndrome and class-wide social-skills training for his classmates: Effects on adaptation behaviors and depressionとして,すでに採択されている。その参加費,旅費に研究費を用いる予定である。
そのほかには,これまでの研究成果を公表するための学会参加,論文執筆に係る経費を計上している。加えて,最終的なプログラムの実施とその効果検討のための学校等との通信費,旅費,印刷費などを計上している。

  • 研究成果

    (15件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (7件) 図書 (2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 学校の統廃合に伴う児童の抑うつおよび心理的ストレス反応に対する認知的介入の効果2014

    • 著者名/発表者名
      小関俊祐・小関真実・鈴木彩奈
    • 雑誌名

      認知療法研究

      巻: 7 ページ: 94-102

    • 査読あり
  • [雑誌論文] アスペルガー障害の児童生徒の抱えるうつ病に対する心理的介入の有効性の検討2014

    • 著者名/発表者名
      小関俊祐・小関真実
    • 雑誌名

      愛知教育大学教育臨床総合センター紀要

      巻: 4 ページ: 印刷中

    • 査読あり
  • [雑誌論文] The relationship between positive and negative automatic thought and activity in the prefrontal and temporal cortices: A multi-channel near-infrared spectroscopy (NIRS) study2013

    • 著者名/発表者名
      Koseki, S., Noda, T., Yokoyama, S., Kunisato, Y., Ito, D., Suyama, H., Matsuda, T., Sugimura, Y., Ishihara, N., Shimizu, Y., Nakazawa, K., Yoshida, S., Arima, K., & Suzuki, S.
    • 雑誌名

      Journal of Affective Disorders

      巻: 151 ページ: 352-359

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 特別支援が必要な児童の対人相互作用に着目した集団心理的介入の有効性2013

    • 著者名/発表者名
      小関俊祐・小関真実
    • 雑誌名

      発達研究

      巻: 27 ページ: 19-30

  • [雑誌論文] 東日本大震災被災生徒のPTSD症状と抑うつに及ぼす心理的要因の影響2013

    • 著者名/発表者名
      小関俊祐・小関真実・大谷哲弘・伊藤大輔
    • 雑誌名

      ストレス科学研究

      巻: 28 ページ: 66-73

    • 査読あり
  • [学会発表] 東日本大震災被災生徒のPTSD症状に及ぼす心理的要因の影響2014

    • 著者名/発表者名
      小関俊祐・伊藤大輔・小関真実・大谷哲弘
    • 学会等名
      日本不安障害学会
    • 発表場所
      東京大学
    • 年月日
      20140201-20140202
  • [学会発表] 児童の抑うつに影響を及ぼす行動活性化の効果2013

    • 著者名/発表者名
      小関俊祐・小関真実・国里愛彦
    • 学会等名
      日本心理学会
    • 発表場所
      札幌コンベンションセンター
    • 年月日
      20130919-20130921
  • [学会発表] 特別支援学級児童に対する個別SSTと交流学級児童に対する集団SSTが適応行動の遂行と心理的ストレスに及ぼす効果2013

    • 著者名/発表者名
      小関俊祐・林萌恵・鈴木彩奈・中村元美・小関真実
    • 学会等名
      日本行動療法学会
    • 発表場所
      平成帝京大学
    • 年月日
      20130823-20130825
  • [学会発表] Effects of cognitive interventions to reduce children’s psychological stress with school elimination and consolidation2013

    • 著者名/発表者名
      Koseki, Shunsuke, Suzuki, Ayana, Nakamura, Motomi, Hayashi, Moe, Koseki, Mami
    • 学会等名
      ASIAN Conference of Cognitive and Behavioral Therapy
    • 発表場所
      平成帝京大学
    • 年月日
      20130823-20130825
  • [学会発表] 集団SSTが児童の攻撃行動と行動抑制/活性傾向に及ぼす効果2013

    • 著者名/発表者名
      小関俊祐・小関真実
    • 学会等名
      日本教育心理学会
    • 発表場所
      法政大学
    • 年月日
      20130817-20130819
  • [学会発表] SSTの有効性と課題および将来的な発展に向けて2013

    • 著者名/発表者名
      小関俊祐
    • 学会等名
      日本教育心理学会
    • 発表場所
      法政大学
    • 年月日
      20130817-20130819
  • [学会発表] 東日本大震災被災高校生に対する認知行動的介入2013

    • 著者名/発表者名
      小関俊祐
    • 学会等名
      ストレスマネジメント学会
    • 発表場所
      日本赤十字秋田看護大学・日本赤十字秋田看護短期大学
    • 年月日
      20130727-20130728
  • [図書] 発達と学習の心理学2013

    • 著者名/発表者名
      尾形和男(編) 小関俊祐,他7名
    • 総ページ数
      220
    • 出版者
      田研出版
  • [図書] セラピストのための行動活性化ガイドブック2013

    • 著者名/発表者名
      坂井誠・大野裕:監訳 小関俊祐,他9名
    • 総ページ数
      225
    • 出版者
      創元社
  • [備考] 愛知教育大学研究者総覧(小関俊祐)

    • URL

      http://souran.aichi-edu.ac.jp/profile/ja.pESa4-joJb.tuvG9ow4aYA==.html

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公開日: 2015-05-28  

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