研究課題/領域番号 |
24730538
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
岡田 涼 香川大学, 教育学部, 講師 (70581817)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 動機づけ / 動機づけの不安定性 / 大学生 / 自律的動機づけ / 動機づけ方略 |
研究概要 |
本研究は、動機づけの不安定性を測定する方法を確立し、自律的動機づけおよび動機づけ方略との関連を検討することで、動機づけの安定性がもつ概念的特徴を明らかにすることを目的としている。本年度は、動機づけの不安定性について以下の3つの研究を実施した。1つ目の研究として、動機づけの不安定性のパターンを特定した。大学生約180名を対象に状態的動機づけの測定を繰り返し、動機づけの不安定性が高い学生について4つのパターンを明らかにした。2つ目の研究として、大学生、短期大学生、専門学校生合計約300名に対して、複数回調査によって動機づけの不安定性を測定した。動機づけの不安定性は、短期大学生や専門学校性において、自律的な動機づけと負の関連を示すことが明らかになった。3つ目の研究として、大学生約150名を対象に、自身の動機づけの不安定性に対する知覚を測定する尺度を作成し、自律的動機づけおよび動機づけ方略との関連を検討した。この研究は次年度のための予備調査の位置づけで実施した。調査の結果、自律的な動機づけが高いほど自身の動機づけが不安定であると知覚していることが示された。これまで安定的な特性として捉えられがちであった動機づけについて、その不安定性を概念化することで、高等教育場面における学習意欲の変化をより詳細に理解する視点を得ることができる。次年度は、複数回調査による動機づけの不安定性について、測定期間を変更して検討を行う。また、複数回測定による動機づけの不安定性と動機づけの不安定性の知覚という2つの測定方法の異同について、さらにデータを重ねることで検討していく。加えて、今年度のデータの論文化を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在の時点において、概ね予定通りのペースで研究を実施している。2012年度内には、前半で動機づけ研究のレビューおよび自尊心に関する研究知見のレビューを行い、動機づけの不安定性を測定する方法および測定尺度の開発を予定していた。当初の計画通り、動機づけおよび自尊心に関する洋邦の文献をレビューし、動機づけの不安定性を測定する心理尺度とその指標化の方法を確定した。後半においては、複数回測定による動機づけの不安定性に関する調査を実施し、その特徴を明らかにすることを予定していた。さらに、動機づけの不安定性のパターンを明らかにすることを計画していた。前半から後半にかけて、研究計画にそって調査を実施し、大学生における動機づけの不安定性のパターンを特定し、動機づけの不安定性と自律的動機づけ、動機づけ方略との関連を明らかにすることができた。研究成果の発表に関して、研究テーマに関する論文発表1件、学会発表(ポスター発表)2件、研究会での発表1件を行った。学会発表および研究会での発表については、他大学の複数の研究者と議論を行い、次年度の研究実施時に向けて有意義な示唆が得られている。また、次年度に行う複数回調査による動機づけの不安定性の知覚に関して、予備調査の位置づけでいくらかのデータを収集しており、その分析結果から次年度の計画をスムーズに行うことが可能になっている。以上のことから、現段階で研究計画は順調に進行しており、次年度もスムーズな進捗が予想される。
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今後の研究の推進方策 |
2013年度は、2012年度の研究結果を踏まえて、動機づけの不安定性の測定方法についてさらに検討を進める。まず、2012年度に作成し、予備的に実施した動機づけの不安定性の知覚を測定する尺度について、2013年度の前半に追加的なデータを蓄積する。そのデータを加えたうえで、複数回測定による動機づけの不安定性と動機づけの不安定性の知覚との関連および、自律的動機づけ、動機づけ方略との関連の異同について検討する。また、複数回測定による動機づけの不安定性について、2012年度は1週間ごとの調査によって行ったが、2013年度には1日ごとの調査によって測定を行う。2013年度の前半から後半にかけて調査を行い、そのデータをもとに、動機づけの不安定性と自律的動機づけおよび動機づけ方略との関連について、調査期間による差異を明らかにする。研究発表については、2012年度に測定したデータについて、学術論文としてまとめる。さらに、2013年度に収集したデータを学会で発表し、教育心理学や学習心理学を専門とする他大学の研究者や大学教員、学校教員等の教育関係者と議論する。同時に学習および動機づけ関連の研究会においてもこれまでの研究結果を発表し、議論を行うとともに研究方法や研究知見の応用可能性について示唆を得る。それらの議論を踏まえて、2014年度以降の学術論文としての発表を目指し、学術論文としてまとめる作業を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし。
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