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2013 年度 実施状況報告書

心理学データのための情報仮説の評価法およびソフトウェアの開発

研究課題

研究課題/領域番号 24730544
研究機関専修大学

研究代表者

岡田 謙介  専修大学, 人間科学部, 准教授 (20583793)

キーワード情報仮説 / 縦断データ / 階層データ / 統計改革 / 心理統計学
研究概要

平成24年度・25年度において、心理学で用いることの多い統計モデルについて、情報仮説の評価を用いた仮説・モデルの評価方法を開発した。
統計改革の流れのなかで、本研究課題が指向するように、仮説検定への過度な依存から脱却するための研究・動きが活性化している。この文脈の中で、平成24年・25年度におこなった効果量のバイアスについての論文が受理され、出版された(雑誌論文2)。心理学データ分析で分散分析はもっともよく使われる方法論のひとつであるが、このとき本研究によって、これまで多くの研究で考えられていたのとは異なり、イプシロン2乗がバイアスの観点からは望ましい効果量であることが示された。当初の予定通り、本論文で用いられたRのプログラムもあわせて公開されたため、読者はこれを利用して本研究を再現したり、自らのデータにおいて効果量を算出するにに利用したりすることができる。
また、近年の情報仮説の方法論およびソフトウェアについてレビューを行い、また実際に成果を心理学で用いられる行動データに適用した研究の論文を発表した(雑誌論文1)。これについては、現在印刷中であり今年度内に出版される予定である。
その他、成果について国内外の主要な学会において研究発表を行った。
また、テスト理論における情報仮説の新しい評価法を開発した。これについては、現在論文を投稿し査読を受けているところである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

情報仮説とは、研究者のもっている仮説を直接的に表現する、母数(パラメータ)についての不等号・等号制約によって表現される仮説である。情報仮説をデータにもとづいて評価することによって、研究者の持っている仮説のよさを直接的・定量的に検証するための方法論を開発することが本研究課題の主要な目的であった。
情報仮説の評価はこれまでの主な発展が計算機統計学や医療統計学といった限定的な分野にとどまっていたが、本研究ではこれを心理学データ分析において積極的に利用可能にするための研究を行ってきている。「研究実績の概要」欄に示したとおり研究は順調に進行しており、またその成果も国際・国内誌における論文や学会における招待講演などで発表できるようになっている。したがって、本研究はこれまでのところ概ね順調に進展しているといえる。

今後の研究の推進方策

本年度以降も、当初の研究計画に則り研究を推進していく。平成25年度までの研究内容を踏まえ、これを深めつつさらなる一般化・具体化を図っていく。
平成26年度は、階層データや縦断データといった、近年の調査観察データを用いた心理学研究のトレンドであるデータ構造における情報仮説の評価法について、研究をすすめていく。これには、やはり近年注目を集めている多次元テストデータも含まれる。昨年度の計画に則り、手法の評価のために数値計算用の計算機資源を更新したため、さらに効率的な研究の進行が可能になると考えられる。これを用いて、提案する、および既存の推定法のバイアスや精度が実用上十分であるかどうかの検証を行っていく。
また、論文や書籍、学会発表などをとおした研究成果の公開にも積極的に取り組んでいく。
引き続き本研究課題により、心理学研究の発展に方法論的な側面から寄与できることを指向していく。

次年度の研究費の使用計画

当初計画で計上していたミシガン大学データベース利用料、およびプログラミング補助謝金を学内の大規模別プロジェクトの予算によって賄うことができたことにより、使用額を当初見込みを下回る額におさえることができた。
本研究の積極的な推進と成果公開のため、資料代および英文校閲、成果発表のための費用として今後さらに本予算を積極的に活用していく。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 2件)

  • [雑誌論文] ベイズ統計による情報仮説の評価は分散分析にとって代わるのか?2014

    • 著者名/発表者名
      岡田謙介
    • 雑誌名

      基礎心理学研究

      巻: 32 ページ: 223-231

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Is omega squared less biased? A comparison of three major effect size indices in one-way ANOVA2013

    • 著者名/発表者名
      Okada, K.
    • 雑誌名

      Behaviormetrika

      巻: 40 ページ: 1-19

    • 査読あり
  • [学会発表] Stanによる新しいマルコフ連鎖モンテカルロ法2014

    • 著者名/発表者名
      岡田謙介
    • 学会等名
      日本行動計量学会春の合宿セミナー
    • 発表場所
      帝京大学
    • 年月日
      20140313-20140314
    • 招待講演
  • [学会発表] Objective and conventional priors in Bayesian evaluation of informative hypotheses2013

    • 著者名/発表者名
      Okada, K.
    • 学会等名
      O-Bayes 2013
    • 発表場所
      Duke University, USA
    • 年月日
      20131215-20131219
  • [学会発表] Bayesian Evaluation of Compensation in Multidimensional Item Response Models2013

    • 著者名/発表者名
      Okada, K.
    • 学会等名
      Ishigaki International Conference on Modern Statistics Theories, Practices, and Education in the 21st Century
    • 発表場所
      Ishigaki, Japan
    • 年月日
      20131108-20131110
  • [学会発表] 心理学の研究における効果量とp値の乖離2013

    • 著者名/発表者名
      波田野結花・岡田謙介
    • 学会等名
      日本心理学会第77回大会
    • 発表場所
      札幌コンベンションセンター
    • 年月日
      20130910-20130912
  • [学会発表] Bayesian evaluation of informative hypotheses in multidimensional scaling2013

    • 著者名/発表者名
      Okada, K.
    • 学会等名
      2013 Joint Statistical Meetings
    • 発表場所
      Montreal, Canada
    • 年月日
      20130803-20130808
  • [学会発表] 仮説検定における再現性の問題と新たな方法論

    • 著者名/発表者名
      岡田謙介
    • 学会等名
      日本社会心理学会春の方法論セミナー
    • 発表場所
      上智大学
    • 招待講演

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公開日: 2015-05-28  

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