研究課題/領域番号 |
24730548
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研究機関 | 日本女子体育大学 |
研究代表者 |
中道 直子 日本女子体育大学, 体育学部, 講師 (10389926)
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キーワード | 幼児 / ふり遊び / シグナル / きょうだい |
研究概要 |
アメリカや日本の母親は,トドラー(1歳半児)の前でオヤツを本当に食べるときよりも食べる「ふり」をして見せるときに,頻繁に微笑し,トドラーの顔を長い時間注視し,効果音(米:非言語音,日:オノマトペ)を使う(Lillard & Witherington, 2004; Nakamichi, in press)。これらの行動は「ふりシグナル」と呼ばれ,認知能力の未熟な子どもに「これはふりだ」と教えるための行動である。本研究では,幼児期におけるふりシグナルの発達過程を検討することを通して,ヒトがいつから教育者になれるのかを明らかにする1つの証拠を提供することを目的とする。 H25年度はH24年度の冬に実施した調査結果を分析した。研究の仮説を知らないコーダーに謝礼を支払い,調査中の様子を記録したビデオの中のきょうだいの行動を符号化してもらった。年上のきょうだいに関しては,視線,微笑,発話,おやつに関連する動作の符号化を行った。年下のきょうだいに関しては,視線,微笑,おやつに関連する動作の符号化を行った。 その結果,年上のきょうだいは,年下のきょうだいの前でおやつを食べるときよりも食べるふりをするときに,頻繁に微笑しており,また発達に伴い年下のきょうだいが自分を見ているときにより多く微笑するようになることが示唆された。また,年上のきょうだいは,本当に食べる場面より,食べるふりをする場面で,オノマトペなどの効果音を頻繁に使った。これらの成果を発達心理学会にて口頭発表およびポスター発表を行った。現在は,まだ上記の調査結果についてさらに詳細な分析をしている途中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究者の主観が入ることを防ぐために,幼児の行動の符号化は,仮説を知らない第三者が実施するのが望ましいとされている。そのため,学生に行動の符号化を依頼したが,適切に符号化できるようにするために学生を訓練するのにかなりの時間を要した。また,行動の符号化そのものにもかなりの時間を要しため,H25年度での実施を予定していた調査を行うことができなかった。しかしながら,これまでの研究成果は,ふり遊び研究そしてきょうだい関係研究に新しく重要な証拠を提供するものであること,また本課題と関連する研究論文が海外誌に採択されたことを鑑みて,おおむね順調に進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
H24-25年度に実施した調査結果をまとめ,海外誌に投稿する。さらに,H25年度に実施予定であった幼児(4,5,6歳児)が,自分と同程度の認知能力を持つ仲間を遊び相手とするときのふりシグナルの発達過程の検討を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
H24年度に行った調査結果の分析にかなりの時間を要してしまい,H25年度に行う予定であった調査を実施できず,被験者に支払う予定の謝礼分が残ってしまったため。 H25年度に実施する予定であった調査を,H26年度に実施する。その調査の際に,H25に未使用だった予算を被験者への謝礼金に充てる。
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