社会的ふり遊びは,他者の想像の枠組みを理解し,維持する能力を子どもに要求するため,比較的洗練されたふり遊びの形式だと考えられてきた。本研究は,どのようにして年上のきょうだいが,「ふりシグナル」を用いることで,トドラーを社会的ふり遊びへ参加するように導くのかを検討した。26人の年上のきょうだい(M=5歳5ヶ月)は,彼らの年下のきょうだいであるトドラー(M=1歳11ヶ月)の前で,オヤツを本当に食べる様子(本当条件)と,オヤツを食べるふり(ふり条件)をする様子を観察された。年上のきょうだいは,本当条件よりふり条件で長い時間微笑し,トドラーを注視し,効果音をより使い,オヤツ動作をより行うなどの,「ふりシグナル」を送っていた。さらに行動系列分析の結果は,ふり場面においてきょうだい間で表情や動作の模倣が生じていたのではないことや,きょうだいがふり動作をして,トドラーを注視し,微笑するといった「特定のパターンのふりシグナル」を呈示した後に,トドラーはふり遊びに参加する傾向があることを示した。
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