研究課題/領域番号 |
24730552
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研究機関 | 関西福祉科学大学 |
研究代表者 |
西元 直美 関西福祉科学大学, 社会福祉学部, 准教授 (50390117)
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キーワード | 擬適応 / 気質 / 唾液中αアミラーゼ / 完全主義 / 幼稚園 / 縦断データ |
研究概要 |
本研究では、一見適応的であるものの「“いい子”だけれど気になる」と認識される状態を、適応に似ているが非なるものとして擬似的な適応と捉え「擬適応」と呼んでいる。そうした「擬適応」という視点から「いい子」について考察することを目的として、幼稚園入園から卒園までの縦断データを用いた検討を計画した。 平成24年度には幼稚園への新入園児である年少組(3歳児クラス)の幼児を対象に、「気質(CBQ Short Form)」「幼児用完全主義尺度」「擬適応行動項目(改訂版)」の質問紙調査およびストレスの生理指標として「唾液中αアミラーゼ活性」の測定を行い、第1回目の縦断データの収集を予定どおり実施した。平成25年度には第1回目の縦断データの分析を行うとともに、年中組(4歳児クラス)の幼児を対象に第2回目の縦断データの収集を行った。 平成24年度の収集データから、唾液中αアミラーゼ活性に関して性差、きょうだい順位差、および気質との関連を分析した結果、唾液中αアミラーゼ活性ときょうだい順位との関係は明確には示されなかったが、アミラーゼ活性に関連する気質が男女で異なることが明らかとなった。また、唾液中αアミラーゼ活性と擬適応との関連について分析した結果、唾液中αアミラーゼ活性の低群、すなわちストレス低群のほうが「親には甘えるが、園ではお姉さん(お兄さん)ぶっている。」という行動傾向の強いことが示された。また、唾液中αアミラーゼ活性の高群、すなわちストレス高群に「嫌なことがあっても怒ったり、不機嫌になることはない。」という行動傾向の強いことが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実施計画どおり、幼稚園年少児クラス(3歳児クラス)から年長児クラス(5歳児クラス)の3年間の縦断データの収集を開始し、第1回目の平成25年2月から3月にかけて実施した、「擬適応」「気質」「完全主義」についての質問紙調査(養育者および保育者の評定)および園児に対するストレス評価(唾液中αアミラーゼ活性の測定)と同様に、第2回目として平成26年2月から3月にかけて実施した。また、分析に関しては、前年度(平成25年度)に収集したデータについて、唾液中αアミラーゼ活性の基礎データとしての分析および、それらと気質との関係、擬適応との関係についての分析を終了している。 以上により、研究の計画はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度においては、「気質」「完全主義」「擬適応」「唾液αアミラーゼ」についての2回目の収集データの入力および分析を行うとともに、2年分の縦断データについての縦断的検討を行う。また、平成27年2月~3月に3回目(最終)の縦断データの収集を行う。平成27年度には3回目の収集データの入力および分析を行うとともに、3年分の縦断データについての縦断的検討を行い、本研究の目的である「擬適応」という視点から「いい子」について考察し、幼稚園における幼児の適応について考察する。
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次年度の研究費の使用計画 |
縦断データ入力作業および分析のためノートパソコン、バックアップ用外付けハードディスクの購入を予定していたが、縦断データ収集の途中であるため既存の機器で対応可能であったため購入を見送ったため。また、養育者への対面でのフィードバック用にタブレットコンピュータの購入を予定していたが、単年の結果の返却であることから、当該年度については幼稚園との協議の末、紙ベースでの返却のみとしたため購入の必要性がなかったため。 縦断データの分析作業のため、また3年間のデータのバックアップのためノートパソコンと外付けハードディスクの購入を予定している。また、次年度は返却データが複数年度になることから養育者へのフィードバックを対面で行う予定をしており、そのためフィードバック時に利用するタブレットコンピュータの購入を予定している。
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