研究課題/領域番号 |
24730553
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研究機関 | 甲南大学 |
研究代表者 |
大西 彩子 甲南大学, 文学部, 講師 (40572285)
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研究期間 (年度) |
2013-02-01 – 2016-03-31
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キーワード | いじめ / 認知の歪み / 集団規範 / 高校生 |
研究実績の概要 |
本研究では児童・生徒を取りまく学級環境の調整によるいじめ防止対策を教育現場に提案するため、集団要因としていじめに対する学級集団の規範的圧力を、個人要因としていじめに対する個人規範と反社会行動に関する認知の歪み、いじめに関する認知の歪みを取り上げ、それらがいじめの傍観行動と被害者への援助行動、加害行動、被害経験に与える影響について明らかにすることを目的とした。いじめは、直接的いじめと関係性いじめを研究の対象とした。高校生を対象に質問紙調査を行い、統計的分析を行った。 分析の結果、反社会的行動に関する認知の歪みは責任転嫁、非難の帰属、道徳的正当化、非人間化、責任の拡散、結果の無視に分けられ、全てにおいていじめに関する認知の歪みと関連が認められた。 いじめに関する認知の歪みといじめの役割については、いじめの傍観行動と中程度の正の相関があり、いじめを傍観した生徒ほどいじめに関する認知が歪んでいることが明らかになった。また、いじめに関する認知の歪みと加害行動、被害行動には低い正の相関が認められ、いじめの加害経験のある生徒およびいじめの被害経験のある生徒ほど、いじめに関する認知の歪みが認められた。いじめ被害者への援助行動といじめに関する認知の歪みとの間には関連が認められなかった。 なお、これまでの研究で得られた知見を書籍にまとめた上、その要点については小学校、中学校、高等学校の教員を対象とした「いじめの防止に効果的な学級運営」についてのパンフレットを作成し、調査協力校および希望校に配布した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
最も困難であった調査協力校を確保することができ、調査協力校との連携により、研究調査を実施することができた。調査時期が遅れたため、分析および成果発表に遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
調査で得られたデータをさらに詳細に分析し、分析内容や分析方法について学会で意見交換などを行うことでより適切な分析および考察を行う。 また、本研究で得られた知見について学会等での発表を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
いじめが社会問題として注目されたことで、各学校が独自の調査を行ったことにより、研究調査をする余裕がなくなった。したがって、調査時期が大幅に遅れたことにより、データ入力等の人件費や学会での意見交換などで使う予定であった予算が使用できなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は昨年度に入力が終わらなかったデータの入力作業(記述データの入力)を引き続き行い、さらに関連学会にてデータの分析、考察に関する意見交換を行う。
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