研究課題/領域番号 |
24730556
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研究機関 | 中村学園大学 |
研究代表者 |
野上 俊一 中村学園大学, 教育学部, 講師 (30432826)
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キーワード | 自己調整学習 / 認知行動療法 / 学習観 / メタ認知 / 学力向上 |
研究概要 |
平成25年度は研究実施計画に基づき教育プログラムの開発(ベータ版)を行った。 まず,平成24年度に実施した調査(「学習時における自己の内的状態と学習成果の関係についての認識」)を踏まえ,ある目標を達成するための学習計画をどのように立てるかを検討した。その結果,学習計画のタイプと自己の内的状態と学習成果の関係についての認識の関連には関係があり,やる気や集中力がありさえすれば通常以上の力を発揮できると認識している場合,最大の学習時間がテスト実施の前日と前々日になっていた。一方で,自らのやる気や集中力をコントロールすることに困難を感じていたり,やる気や集中力があっても自分の力以上の成果は出せないと認識している場合,長期的な学習計画を立てていた。 次に,これらの認識を変える教育プログラムを認知行動療法の知見に基づいて開発と評価を繰り返した。教育プログラム(ベータ版)では,①学習者の認識を正確に把握するためのツール,②認識を変容するための学習課題および働きかけの手引き,③学習者の認識を変化させるための課題,④学習者の認識が変化したことを把握するためのツール,の4ツールを最低構成要素とした。ベータ版ver.1では②と③において面接者の誘導による反応が生じており,その結果④も誘導されたものとなった。ベータ版ver.1の評価を通して,自己の内的状態と学習成果の関係についての認識は素朴理論の1つであり,その理論の修正には継続的な働きかけとその働きかけからいかに新しい理論を紡ぎ出させるかが重要であると考察し,年度末にかけてベータ版ver.2の開発を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
学習時における自己の内的状態と学習成果の関係についての認識については順調に調査を進めている。これらの調査に加え,実際の学習の仕方として目標達成までのプランニングをさせ,そのタイプとの関連も検討している。一方で,教育プログラムの開発はベータ版のver.1からver.2への展開にやや困難が生じた。しかし,年度末にはver.2の開発を終了させ,その評価の準備が整っており,最終年度の効果研究の準備完了している。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は教育プログラムのベータ版(ver.2)の評価を通して完成版の開発を目指す。既にver.1の評価時に多くの問題点を発見しており,この点をいかに改良していき,特定の技術を持たない人物でもプログラムを実施できるような完成版開発に繋げていくことが今後の主たる方策である。特に,初等中等教員が学習時における自己の内的状態と学習成果の関係についての認識を踏まえて,継続的に学習指導するための補助教材に本教育プログラムはなりうるため,初等中等教員のユーザビリティ評価を行い,補助期間終了後も道具として活用できるように研究成果をまとめていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
教育プログラムの評価に関するデータ入力として人件費を計上していたが,このデータ入力については専門的な知識を必要する為,入力者のトレーニングに時間を要した。そのため,当該年度のデータ入力については研究代表者が実施した為。 次年度のデータ入力にトレーニング済の人材に協力してもらう予定であり,その為の経費として使用する。
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