研究課題/領域番号 |
24730560
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 新潟中央短期大学 |
研究代表者 |
佐々木 宏之 新潟中央短期大学, その他部局等, 准教授 (80389949)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 養育スタイル / 制御適合 / 制御焦点 / 説得的メッセージ / フレーミング効果 / 動機づけ |
研究概要 |
平成24年度の研究計画では、「親のしつけ」、「子どもへの言葉がけ」、「制御適合」、「動機づけ」、「フレーミング効果」の関係性を検証し、本研究のフレームワークを形成するという目標が掲げられた。 当初の研究計画に従い、幼児の保護者と学生を対象とした調査を実施した。保護者に対する調査から、「親のしつけ」のタイプが「子どもへの言葉がけ」の仕方に反映すること、そしてそれが「制御適合」の関係にあることが確かめられた。すなわち、受容的な養育スタイルの親は、ポジティブな結果の達成を促す言葉がけを選び、統制的な養育スタイルの親はネガティブな結果の回避を促す言葉がけを選ぶという結果である。以上の成果について、日本心理学会第76回大会にて発表を行い、同第75回大会にて発表した内容と併せて論文を執筆した。この論文を3月21日付でEuropean Journal of Social Psychology誌にオンライン投稿し、現在審査を受けている。 学生に対する調査では、過去に受けた「親のしつけ」が現在の「動機づけ」のタイプに影響するか、そしての影響の仕方に「制御適合」の関係が認められるかを検証した。また、「親のしつけ」の認識が親子で一致するか調べるため、学生の保護者にも調査を行った。以上についてはデータが不足しているため、次年度でも引き続き調査を実施する。 本研究の重要なバックグラウンドとなる「フレーミング効果」と「動機づけ」に関する我々の論文が、Journal of Psychology誌(2013年, 147巻2号, 125-151ページ)に掲載された。この成果は、本研究の方向性を保証するだけでなく、本研究のモデル構築に資するデータとなる。同様の成果についてまとめた論文を4月23日付でJournal of Social Psychology誌にオンライン投稿し、現在審査を受けている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度の研究計画では、A)養育者の養育スタイルと言葉がけに見る制御適合の関係(幼児の保護者への調査)と、B)親のしつけとフレーミング効果の関係(学生を対象とした調査)を検証する2つの調査を実施することが計画された。調査Aについては当初の計画通り、国内学会での発表を経て国際専門誌への論文投稿に結びつけた。調査Bについては現在データを分析中で、補完的な調査を今後実施する予定である。また、当初は計画になかった親子間の一致度を測る調査が、調査Bから派生的に起案された。この調査結果もまた本研究のモデルを強化することが期待される。 以上を総合すると、調査Bについては論文執筆に至るところまで検討は熟していないが、全体的には初年度に達成すべき目標に到達していると言えよう。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は前年度調査の継続と並行して、幼児と学生を対象とした実験を実施する。研究の計画については、前年度中に共同研究者の金地美知彦八戸学院大学講師と打ち合わせを行い、実験の方向性や実験計画を議論した。この実験には保育所・幼稚園の協力と学生の実験補助が不可欠である。そのため、保育所・幼稚園の繁忙期、学生の実習期間や長期休暇など、時期的な制約を受ける中で実験を遂行していかなければならない。本年度を通じてデータ収集を漸次進めていく。 平成26年度に予定している国際応用心理学会発表の発表エントリーが平成25年度末締切なので、現在審査中の論文を中心とした内容で発表準備を行う。 平成26年度の計画にある幼児と保護者の観察について、共同研究者の栗原ひとみ植草学園大学准教授と打ち合わせを行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度中に研究費の前倒し支払請求を行ったことが起因して、平成24年度分の研究費が平成25年度に繰り越された。これについては、前倒しで実施する予定の実験が実施されなかったからというのが主な理由で、これはそのまま平成25年度にスライドして実施されるので、結果的に申請当初の計画通りに研究費が使用されることになる。研究費使用の主な内訳は、実験協力者と協力機関への謝礼および学生アルバイトへの謝金と国内学会参加旅費である。
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