研究課題/領域番号 |
24730568
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
田附 あえか 筑波大学, 人間系, 助教 (60550556)
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キーワード | 児童養護施設 / 家族支援 / 施設心理職 / 関係性への援助 |
研究概要 |
平成25年度は児童養護施設における家族支援に関する最近の文献研究を行った。以前に研究代表者が行った、2010年以前の児童養護施設における家族支援に関する文献は、(1)児童相談所・市町村・児童福祉施設等における治療的・心理教育的グループ支援プログラムの開発、紹介、実施報告、および効果についての検討、(2)虐待が生じる家族、および虐待を行う親の特性や力動に関する調査や研究、(3)虐待を行う親に対する支援の事例研究または質的研究、の3群にまとめることができた(髙田・田附,2011)。そこで本研究において2010年度以降の文献をレビューした結果、(4)児童福祉施設入所児童の親や家族も援助を必要としており,児童福祉施設における援助が必要であるいうことが共通理解となってきていること、(5)入所児童の家族に対する支援が目指すものとして,家族の「ありよう」の変化(増沢,2011)、あるいは家族関係の良い循環への転換(穐山,2011)、が必要であること、すなわち親子や家族の「関係性」への支援という視点の導入がますます強調されていること、(6)実在する現実の家族との交流や関係改善への支援のみならず、家族支援の観点からの子どもへの援助が重要であること。すなわち,子どもの家族イメージを育んだり、自分の人生にどんなことが起こって施設に来ることになったのかを理解し、今後のことをともに考えるような支援が重要であることの指摘(村瀬,2011;島川,2011;厚生労働省,2013;塩田,2013など)、の3点が加えられた。一方、本研究のテーマである、児童養護施設の心理職による家族支援に関する論考はほとんど蓄積がないことがわかった。したがって本研究が目的としているような、児童養護施設における心理職による援助モデルの構築を行う必要性があることが再確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度は文献の研究を行い、今後の研究の土台とすることを目的としていたため、おおむね順調に進展していると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、(1)児童養護施設における心理職による家族支援実践に関するインタビュー調査の分析、(2)児童養護施設における心理職による家族支援の事例研究、(3)児童養護施設における心理職による家族支援に関するシンポジウムの開催、を予定している。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年8月18日~25年8月31日まで、産前産後休暇及び育児休業を取得していたため研究を中断し、平成25年10月1日より研究を再開した。中断期間分の研究期間を延長する予定で申請を行ったため、次年度以降に助成金を繰り越した。 平成25年度に実施予定であったシンポジウムを平成26年に実施する予定のため,その開催経費が54万5千円(講師料(25000円×5),旅費・宿泊費(50000円×6),学会参加費(60000円×2)),報告書作成費21万5千円(印刷費用100000円,テープ起こし代100000円,郵送費1万5千円),計76万円とする。
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