研究課題/領域番号 |
24730568
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
田附 あえか 筑波大学, 人間系, 助教 (60550556)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 児童養護施設 / 施設心理職 / 家族支援 / 家族再統合 |
研究実績の概要 |
本年度は児童養護施設における心理職による家族支援のモデル構築の一環として、(1)児童養護施設において心理職として家族支援に携わっている専門職などによる実践報告とその分析、および(2)児童養護施設における家族支援に関する事例研究を行った。 (1)に関しては、児童養護施設において家族支援に深く関わっている心理職、他の児童福祉施設において家族支援に携わっている専門職、および当該分野の研究者による公開シンポジウム(討論会)およびフォーカストグループインタビューを実施した。その結果を逐語記録に起こして分析したところ、1.児童養護施設において家族支援に心理職がかかわるきっかけや経緯、2.児童養護施設において心理職が家族支援にかかわるための工夫や体制作り、3.家族に関するアセスメントの重要性の3つの観点にまとめられた。1.は施設における子どもへの援助として、心理面接のみを重点的に行っていた時期に、その効果に限界を感じたことが契機であるとされた(心理面接の限界)。さらに子どもが家族について知りたいという声に耳を傾けたことにより、子どもの重要な環境への働きかけのひとつとして家族への支援に携わることになったとされた。2.については、例えばライフストーリーワークを使う、子どもの心理療法を実施するための許可や説明を行う、など、直接家族支援を行うよりは、間に何らかの媒介物を挟んでやりとりをする、という方法などがあげられた。3.に関しては、親や家族のタイプを分類することにより、どのようなアプローチが有効性が高いのかという点で分析がされた。なお(1)の一部はシンポジウムとして公開され、報告書としてまとめられている。 (2)に関しては、児童養護施設において9年間暮らした子どもとその親の関係調整を行った事例について検討し、レジリエンスを中心とした考察を行って、子ども虐待防止学会において発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画書であげていた研究やその公開を実施し、ほぼ予定通り進行している。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は各施設の取り組みや個別の事例を概念化し、一般化されたモデルの生成に取り組む。
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次年度使用額が生じた理由 |
産休・育休のために研究中断期間(平成24年08月18日~平成25年08月31日 )および1年の延長期間があり、中断期間に使用していない研究費を次年度に繰り越す予定だったため。
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次年度使用額の使用計画 |
児童養護施設における心理職による家族支援モデルの生成と検証のためのフォーカストグループ実施のための、物品費・旅費・人件費等に使用する。
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