研究実績の概要 |
本研究は不安や抑うつの要因となりうる解釈バイアスを修正する方法の一つである「解釈バイアス修正法(CBM for Interp retation:以下CBM-I)(Mathews & Mackintosh,2000)の日本語版を開発してその効果を検証することが主な目的であった。CBM-Iとは,コンピューターを介して,あいまいな刺激とその肯定的な解釈に繰り返しさらすことによって,解釈のバイアスを修正する方法である。 平成27年度は,Lang, Blackwell, Harmer, Davison & Holmes(2012)の研究をもとに,写真刺激を日本の文化に合う内容に修正した。Lang他(2012)では,ポジティブ,ネガティブ両方の結果が想定できる64枚の写真とともに,ポジティブな結果を連想させる単語を提示して,その様子を鮮明にイメージすることが求められる。写真のうち,文化差が感じられるものはすべて日本の写真に変更した。さらに平成25年度にLang他(2012)を参照して日本の文化に合うように修正した日本語版の文章の介入刺激を読み上げた音声を作成した。これらの写真と文章・音声の刺激は社会不安傾向に合う内容のものを精選した。写真および文章・音声の刺激を組み合わせた課題をCBM-Iをインターネット上で実施するため,Web制作会社に依頼して,CBM-I日本語版の介入画面を作成した。この介入画面を用いて実施した研究の結果については,研究成果報告書に詳細を記載した。本研究課題終了後も,このウェブ介入画面を使用して大学生を中心にCBM-Iを実施し,日本語版の効果を広く検証していく予定である。
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