研究課題/領域番号 |
24730573
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
井上 淳 浜松医科大学, 医学部附属病院, 臨床心理士 (90535577)
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キーワード | 強迫性障害 / 症状ディメンション / 治療戦略 |
研究概要 |
本研究の目的は、強迫性障害の症状ディメンションに対応した心理療法の治療戦略を確立することである。H25年度は、H24年度に引き続き、ディメンションに対応した有効な心理療法を探索することを目的に、強迫性障害のクライエントの背景因子やパーソナリティ傾向、知的能力、主なディメンション、用いられる治療方法などについて後方視的に検討を行った。1998年6月~2012年10月までの間に、強迫性障害と診断され、浜松医科大学精神科に入院となった66名のデータを分析対象とし、これまでの臨床実践の詳細を調査した。調査項目として、(1)強迫症状のディメンションの特定に、Dimensional Yale-Brown Obsessive-Compulsive Scaleを用い、主なディメンション、ディメンション数、(2)症状の重症度評価として、入院時と退院時に評価されている機能の全般的評価(GAF)、(3)教育暦、(4)入院期間、(5)発症年齢、(6)入院時年齢、(7)罹病期間、(8)知的能力(WAIS-R/WAIS-III)、(9)personality特性(MMPI、Y-G性格検査)、(10)用いられた治療方法を調査した。治療前後のGAFの変化を治療効果の指標として、改善群と不変群の2群に群分けを行った。不変群と改善群の両群間で、教育暦、入院期間、発症年齢、入院時年齢、罹病期間、ディメンション数、知的能力に有意差は認められず、これらの要因は、不変/改善に寄与しないことが示された。汚染が主要なディメンションの場合、森田療法よりERPの改善率が高く、ERPに導入することが有効であることが示唆された。攻撃性が主要なディメンションである場合、森田療法での改善率が高く、対称性・整理整頓が主要なディメンションである場合、ERP以外の行動技法及び、森田療法での改善率が高いことが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在、治療戦略の仮説に基づき、前方視的な検討を進めている最中であり、被験者をリクルートしているが、十分な症例数が集まっていないため。
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今後の研究の推進方策 |
後方視的検討により導かれた治療戦略を基に、治療を行い、前方視的に検討を進めていく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
前方視的検討に当たっての被験者のリクルートが遅れており、当初予定していた前方視的検討に伴う予算の使用ができていないため 対象者への謝金、データ管理と保存、解析のための人件費等
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