本研究の目的は、プレッシャーが認知的・行動的パフォーマンスを抑制するメカニズムを検討することである。本研究では、近赤外分光法(NIRS)を用いた検討を行った。 まず、平成24、25年度には、NIRS信号の妥当性を確認する実験1を実施し、NIRS信号の一定の妥当性を再確認するとともに、本研究において引き続きNIRSを使用する方針を決定した。それに続き、プレッシャー条件下におけるパフォーマンスの抑制について、NRIS信号および自律神経系指標を用いた実験2を実施した。なお、課題は、より現実の評価的プレッシャー場面に近いスピーチ課題を採用した。実験2の結果、(1)プレッシャーがパフォーマンスを低下させる、(2)プレッシャーは、前頭前野活動の指標であるoxy-Hbの値を上昇させる一方、deoxy-Hbを減少させることが示された。 平成28年度は、実験2の結果をさらに詳細に分析し、スピーチ課題の施行回数と、パフォーマンス、NIRS計測値との関連から、さらにプレッシャー条件下におけるパフォーマンス抑制との関連を詳細に分析した。その結果、プレッシャー条件下においては、課題の試行回数が増えるごとにスピーチパフォーマンスが上昇する一方、前頭前野の活動が低下することが明らかになった。
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