本研究は、プレッシャー状況下におけるパフォーマンス低下のメカニズムについて、近赤外分光法(NIRS)を用いて実証的に検討し、臨床的介入に応用可能な基礎的知見を得ることを目的とした。研究課題が採択された後、NIRS信号の妥当性に関する疑義が提出されたが、実験により①NIRS信号は顔面血流の影響を一定程度受けるものの、その影響力は課題負荷によるNIRS信号の変化を説明するほど強いものではなくNIRS測定値には一定の妥当性があること、②これまで検証されてきた認知課題だけでなく、スピーチという社会的性質を持った課題においても、前頭前野の過活動がパフォーマンスの抑制と関連していることが示された。
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