【研究内容】 研究1「性被害の実態調査と被害児への支援実践」については、昨年度までに続き、性暴力によるトラウマ体験を有する児童生徒に対するTF-CBT(トラウマフォーカスト認知行動療法)を施行し、これまでの本研究成果について国内外の臨床家および研究者との検討を行った。また、海外(米国・アレギニーセンター他)での研修等を受講し、日本での実践にあたっての留意点等を検討した。また、児童福祉施設の入所児童(26名)を対象としたトラウマ被害に関する調査を行い、それらの結果をふまえた心理教育プログラム(5回)を提供し、効果評価を行った。結果、TF-CBTの構成要素は、個別臨床のみならず集団での心理教育や、施設内での生活支援に反映させることが可能であり、またトラウマ症状の自覚化と肯定的なストレス対処スキルの向上に効果があることが示された。 研究2「性加害児への治療教育の実践と効果評価」については、主として性問題行動を有する性著を対象とした学校ベースドのプログラム作成と実践を行った。公立の高等支援学校と高等学校の協力を得て、指導内容の検討と事例検討等を行った。なお、本年度の研究成果やそこから得られた知見を学校現場に還元するため、研究内容を「平成26年度『教育現場への研究知見の還元を思春期におけるさまざまな課題のある生徒への健康教育と生徒指導』報告書Ⅲ,協力:大阪府立泉北高等支援学校,編集・作成:野坂祐子」(2015年2月28日)にまとめ、全国の全国特別支援学校知的障害教育校代表校と頒布希望のあった学校に配布した。今後、研究内容に対する学校現場からのフィードバックを元に、研究の評価と今後の計画を行う予定である。 研究3「性暴力に関する支援教育ツールの開発」については、上記の研究2において教材開発を行い、報告書(上掲)にてまとめ、公開した。また、これまでの研究期間に作成した教材は、ホームページにて公開している。
|