平成26年度には【研究3:コンドーム使用時の羞恥感情を低減させる介入プログラムの効果研究】を行った。平成25年度までに,コンドーム使用時の羞恥感情は男性においては評価への懸念が,女性においては行動指針の不明瞭さが原因となって発生することが明らかになっていた。さらにこれらの変数に対しては,「相手に嫌われてしまうのではないか」といったコンドーム使用時の背景思考が重要であることが示されてきた。そこで平成26年度は背景思考に対する反駁情報を提示するウェブサイト上で作動するプログラムを作成し,このプログラムの効果を検討することを目的とした。 本研究で作成したプログラムでは,まず「コンドームを使う時,あなたはこんな風に思ってしまうことはありませんか?思ってしまうものを選択しよう」という文章のもと,「1. コンドームを使うと相手に嫌われてしまうかも」といった4つの背景思考が提示される。このうちどれかを選ぶと,その思考に対する実際の調査データ(平成25年度科研費による)に基づいた反駁情報(例「コンドームを使う相手のことを嫌いになることはないとしている女性はなんと94%!」)が提示される仕組みになっている 20~25歳の成人322名を対象にしたインターネット調査により,本プログラムの効果を検討した。ランダムに振り分けられた152名(介入群)に対してこのウェブサイトを見せ,見なかった残りの170名(対照群)との比較を行った。その結果,事前および閲覧直後にはコンドーム使用時の羞恥感情の得点に群間で差がなかったが,閲覧2週間後には介入群の羞恥感情の得点が対照群に比べて有意に低かった。しかし自己効力感およびコンドーム使用行動意図の得点に関しては,プログラム閲覧の効果はみられなかった。すなわち本プログラムは羞恥感情の低下に対しては有効であることが示された一方で,自己効力感や行動への影響は確認できなかった。
|