研究課題/領域番号 |
24730585
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 岩手県立大学 |
研究代表者 |
山田 幸恵 岩手県立大学, 社会福祉学部, 准教授 (30399480)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 東日本大震災 / 里親 / 里子 / 臨床心理学的支援 / 悲嘆 / 家族 / 適応 |
研究概要 |
平成24年度は、被災により里親となった方を対象とした里親研修において心理教育を行い、里親の心理的負担の軽減効果を検討する、研究1「里親への臨床心理学的支援の検討-心理教育の観点から-」を実施した。 養育里親の場合、事前に研修が行われている。しかし、親族里親の場合はそのような研修は義務化されていない。岩手県里親会では、里親研修を行い里親制度の情報等について研修を行っているが、それだけでは十分とはいえない。そこで、本研究では「災害後の子どもの心身の変化」「親を失った子どもの心身の変化」について心理教育を行い、子どもの心身の変化を理解することによる、心理的負担の軽減効果について検討した。 指標としては、心理教育による知識の向上を測定するために、本研究のために「災害後の子どもの心身の変化」と「親を失った子どもの心身の変化」の知識に関する質問項目を作成して用いた。また、日常生活の心理的負担は多岐にわたると考えられたため、日常的に経験する心理的ストレスを測定するthe stress response scale (SRS-18、 鈴木・嶋田・三浦・片柳・右馬埜・坂野、1998)をストレスの指標として用い、心理教育の前後に回答を求めた。 なお、心理教育開始前に研究の趣旨と、質問紙は無記名であり個人のプライバシーは保護されること、回答は自由意志であること、回答しなくても不利益はないこと、回答途中でやめてもかまわないことなどを対象者に説明し、回答をもって同意とした。なお、本研究は岩手県立大学倫理審査委員会による審査を受け、承認されている。 回答結果の分析の結果、心理教育により震災による里子の心身の変化が理解できたことが確認された。また、心理教育の前後で心理的ストレス反応が軽減傾向にあることが示された。また、自由記述から里親自身の震災による心身の変化が理解されたことも示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度に計画していた研究については計画通り実施できた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度の研究は、里親および里子へのインタビューが中心の、研究2「里子の悲嘆の心理的過程の検討」、研究3「里子が里親と新しい家族に適応する心理過程の検討」、研究5「里親と新しい家族が里子を家族として受容する心理的過程の検討」である。昨年度より里親サロンに参加をするなどして、インタビュー対象者確保に向けて動いている。また、当該研究について研究者の所属大学である岩手県立大学の倫理審査委員会による審査を受け、承認されている。 対象者の了解を得ながらインタビュー研究を進捗させていく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
昨年度購入予定であったが購入していなかったインタビューに用いる物品の購入や消耗品のを行う。また、今年度からインタビュー調査が始まるため、インタビュー対象者謝金およびインタビューデータ入力謝金が発生する。 また、インタビューおよび国内学会への参加のための交通費が発生する。 昨年度は外国への視察を予定していたが、スケジュールの都合で渡航ができなかった。今年度は国際学会での発表および視察を実施する。
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