研究課題/領域番号 |
24730586
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
本谷 亮 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (20584189)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 臨床心理学 / 認知行動療法 / 行動医学 / 慢性疼痛 |
研究実績の概要 |
平成26年度は、昨年度に開発した症状維持モデルに基づく認知行動療法プログラムを対象者に実施し、その短期的効果と長期的効果に関して、対象者の心理学的側面と生物学的側面の両側面から検討した。治療プログラムは、心理教育、セルフモニタリング、リラクセーション(漸進的筋弛緩法)、認知的再体制化、pacing、エクスポージャー、アンガーマネジメント、アサーティブネストレーニングであり、隔週1回60分、全10回実施した。また、心理学的評価は、疼痛症状(頻度、強度)、痛みに対する認知(破局的思考)、痛みに対する行動(恐怖回避行動)、生活障害、抑うつを用い、生物学的評価では近赤外線スペクトロスコピー(NIRS)による脳血流量の変化を用いた。 6名が治療プログラムに参加し、3名が正規の治療プログラムを終了した。そのうち2名は、プログラム終了6か月後時点でのフォローアップも終了した。治療プログラムの結果、痛みに対する認知である破局的思考は3名とも減少した。また、痛みに対する行動である恐怖回避行動と生活障害に関しても3名とも改善が認められたが、効果の大きさには個人差があり、健常水準まで変化した者とその水準まで至らなかった者がいた。抑うつは、不変か減少であり、明らかな抑うつレベルを示した者はいなかった。疼痛症状では、頻度は1名を除いて大きな改善は認められなかった。一方、NIRSによる脳血流では、課題反応性が改善し、3名とも脳機能の改善を認めた。なお、フォローアップ時でもその傾向は維持されていた。心理学的評価と生物学的評価の改善度は、関連が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
対象者数が当初の予定よりも増加せず、ドロップアウトが発生し、限られた対象者数での解析、検討となった。そのため、解析方法の変更を余儀なくされ、集合的データとしての数量的解析ではなく、症例ベースの新しいデータ解析を試みる必要が生じたため。また、長期的効果の検証が一部分に限定されてしまったため。
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今後の研究の推進方策 |
補助事業期間の延長を利用し、本年度中には一部しか実施できなかった長期的効果に関して検証を進める。また、症例ベースの新しいデータ解析を試みるために、NIRSデータ解析の専門家へのコンサルティング(専門的知識の提供)を依頼し、解析方法を習得し、治療プログラムに伴う脳機能改善、心理学的評価と生物学的評価の改善度の詳細に関して検証する。 その上で、本研究で開発した治療プログラムの臨床応用可能性について総合考察する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度にデータ収集を完了させ、データ解析を行い、その結果をもとに情報の社会的発信(学会発表、論文作成、投稿など)を行う予定であったが、データ数が当初予定よりも少なく、データ収集に遅れが生じ、長期的評価も一部しか実施できなかったことから現在も一部プログラムが進行中である。また、それに伴い解析方法の見直しも必要となり、年度内に予定していた解析作業、および成果公表が実施できなかった。そのため、研究対象者への謝金の一部、学会発表、論文執筆や論文投稿(英語論文校正料、投稿料、掲載料)にかかる支出がなされなかったため、未使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
プログラム後の長期的効果を測定している対象者への謝金を支出するとともに、データ解析、結果の社会的発信にかかる経費として未使用額を充てる。後者の具体例として、データ解析では、症例ベースに基づく新しい解析方法の習得を目的とした専門家へのコンサルティング料(専門的知識の提供)、結果の発信では、学会発表、および英語論文の校正料、投稿料、掲載料に充てる。
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